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命令を受け自己消滅するマイクロチップ、米ゼロックスPARCが開発

軍事・産業分野などのデータ保護に応用へ
命令を受け自己消滅するマイクロチップ、米ゼロックスPARCが開発

チップが砕けている様子(IDGの映像から)

 映画「ミッション:インポッシブル」のワンシーンを思わせるかのように、命令を受けると粉々になって自己消滅するマイクロチップを米ゼロックスのパロアルト研究所(PARC)が開発した。DARPA(米国防総省国防高等研究事業局)の研究プログラムの一環として取り組んでいるもので、暗号キーやセキュリティー度合いの高いデータの保護などを目的に、軍事・産業分野での幅広い応用を目指している。

 ホコリやチリを意味する「ダスト(DUST = Disintegration Upon Stress-Release Trigger)」と名付けられた技術で、9月9日から11日までミズーリ州セントルイスで開かれたDARPAの「Wait What? 未来テクノロジーフォーラム」でデモ公開された。デモでは、ガラス基板の下の部分にあるフォトダイオードにレーザーを当てると、瞬く間にチップが砕け、細かいゴミになる様子を紹介した。

 IDGニュースサービスによると、電子回路チップを覆う素材には、スマートフォンのカバーガラスによく使われているコーニングの「ゴリラガラス」を使用。ただ、このチップでは、あらかじめガラス内部に応力を加え、熱の影響を受けやすいようにしてある。レーザーを受け、抵抗で発生した高い熱がガラスに伝わって、それが破壊の限界点を超えると、修復不可能な状態にまで細かく破壊される仕掛け。レーザーに加え、機械的なスイッチや電波で作動することも可能という。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
この技術を応用して環境モニター用のセンサーを作り、陸地や海底などに大量にばらまくアイデアもあるという。電波などを受けて粉々に粉砕され、いわゆる電子ゴミ(e-waste)にならないとのふれこみだ。ただ、細かくなってもゴミはゴミのような気がするのだが。

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