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サービスロボットの普及加速には何が足りないのか

政府主導のロボット協議会が仕組みづくりや標準化に着手
サービスロボットの普及加速には何が足りないのか

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 政府主導により産官学でロボットの普及を目指す「ロボット革命イニシアティブ協議会」は10日、飲食店や建設、介護、家庭などで働くサービスロボットの普及を促す仕組み作りに着手した。汎用性が高い上、初めてロボットを扱う企業にも使いやすい「プラットホームロボット」の設計のほか、人間とロボットの接触場面での安全基準作りなどを進める。また地方自治体と連携し、全国各地にロボット利用訓練施設の導入なども検討する。

 ロボット革命イニシアティブ協議会は10日に「ロボットイノベーションワーキンググループ」を立ち上げた。今後、プラットフォームロボットの実現や安全基準・ルールの策定、2020年のロボット五輪の競技種目の選定を進める。こうした活動により政府が課題とする少子高齢化や人手不足への対応、サービス産業などの生産性向上を促す。加えて国際標準化にもつなげる考え。

 ワーキングループの事務局は新エネルギー・産業技術総合開発機構。幹事は産業技術総合研究所や大学、トヨタ自動車日立製作所川崎重工業三菱電機など。全体で30―40社が参加する。

 14日には「ロボット利活用推進ワーキンググループ」が始動。都道府県ごとにロボット普及の支援機関の創設や、ロボット導入を検討している企業向けに、公設試験機関などに中古ロボットの導入を検討する。

 またロボット利用の先行事例を紹介したり、ロボットの移動を妨げる段差などをなくした「ロボットバリアフリー社会」について議論したりする。

 事務局は日本ロボット工業会。幹事は大学のほかトヨタやパナソニック、川崎重工、つくば市、神奈川県など。全体で30―40社が参加する。

 これらのワーキンググループでまとめた内容を16年春にも発表する。政府が1月に公表した「ロボット新戦略」では、ロボットの利用先を自動車などの製造現場だけでなく、サービス業や日常生活支援などにも広げる目標を掲げる。ただ、未経験者にとってロボットは扱いにくい点や、安全面のルール整備が進んでいない点などが普及の壁となっている。
(2015年09月11日 総合2)
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
サービスロボットの普及促進は長い間議論されているが、なかなか根本的な解は見つからない。ロボットに対する技術的なハードルや価格、ロボットを動かしにくい環境など要素はさまざまだが、最も大きな課題は「ロボットを使う必要性に迫られていない」ということだと思う。ルールづくりだけでなく、エンターテインメント性でも労働負荷軽減でも、ロボットの魅力や有用性を打ち出せすことを合わせて考えることも重要ではないだろうか。

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