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シェード3Dがファンド傘下に。「ビットコイン問題」と切り離し再建へ

NHCが出資。逮捕されたカルプレス氏が代表を務めていたティバンと縁切り
シェード3Dがファンド傘下に。「ビットコイン問題」と切り離し再建へ

シェード3Dのウェブページ

 仮想通貨「ビットコイン」のオーナー会社が所有していた3次元コンピューター・グラフィックス(CG)ソフト会社のシェード3D(東京都台東区、笹渕正直社長)は、企業再生ファンドの傘下で経営再建することになった。

 業績が低迷したことに加え、ビットコイン問題でマルク・カルプレス氏の逮捕を受け、信用不安が広がっていた。同氏に関するリスクと完全に切り離し、シェアの高い教育機関向け教材に加え、3Dプリンター需要を取り込み収益を安定化させる。

 再建に乗り出すのは、国内プライベートエクイティファンド大手のニューホライズン・キャピタル(NHC、東京都港区、安東泰志社長、03・3519・1260)。シェード3Dの親会社のティバン、その子会社のマウント・ゴックスは現在破産手続き中で、管財人と事業譲渡契約を締結し、NHCが債権を買い取った。東京地方裁判所も了承した。

 現在、シェード3Dは債務超過で一部に債務の支払いが遅延している。NHCは1億円の増資を引き受け、運転資金に充てるほか、取締役を派遣しガバナンス面と中期計画の策定を支援する。

 シェード3Dは、パッケージソフトの販売が中心で、2014年9月期の売上高は1億4000万円。今後は企業向けを強化し、16年度には売上高を2億5000万円、営業利益3000万円程度を目指す。シェード3Dは13年にカルプレス氏が経営に参画した。国産唯一の3DCGソフトで、教育現場でも広く利用されていることから、事業取得対価は小さいが、NHCは社会的意義を含め投資することにした。
日刊工業新聞2015年09月11日1面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
なかなかこういう案件はファンドでも引き受け手がいないもの。安東さんのニューホライズンは中堅・中小にもしっかり目配せしており、特に「日本に残すべき技術や資産か」を重要視している。

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