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iPadPro、AppleTV、新型iPhoneー盛りだくさんのアップルイベント

単なる改良?どころか、別次元の使い勝手と美しさ追求
iPadPro、AppleTV、新型iPhoneー盛りだくさんのアップルイベント

iPadProを発表するクックCEO(キーノートから)

 「きょうはモンスター(巨大)な発表がある」とキーノートの冒頭で述べたアップルのクックCEO。日本時間の午前2時から、ロックバンドのOne Republicの演奏を含めて朝の4時20分過ぎまで行われたイベントは、実に盛りだくさんの内容だった。しかも前評判通り、12.9インチのiPadPro、新型Apple TV、それに新型iPhoneが登場。おかげでどれが主役かわかりづらかったが、新しいカテゴリーを切り拓くという意味から言えば、iPadProと新型Apple TVだろう。

 iPadProは大画面に加え、スマートキーボード、スタイラスペンといった新しい入力ツールにより、入力デバイスとしての魅力をアピール。AppleTVはセットトップボックスながらアプリや音声認識によるコンテンツ検索などで「未来のテレビ」の形を垣間見せた。さらに「3Dタッチ」という新しいインターフェースをまとった新型iPhone。マイナーチェンジと見えなくもないが、使い勝手や写真の美しさをさらに追求し、別次元の域に達したかのようにも感じられる。

⚫︎「ユーザーの97%が満足している」Apple Watch
 すでに1万のアプリが存在する。レザーベルトは10月発売。スポートモデルで「ゴールド」と「ローズゴールド」を追加。ステンレスモデルではエイズ撲滅活動を支援するProductREDのバンドも。watchOS2は9月16日ダウンロード開始。
 
⚫︎「iPad以来の最大のニュース」アートにもビジネスにも向くiPadPro+Pencil
 12.9インチの画面に2732×2048ピクセル。560万ピクセルで、iOSデバイスでは最高の解像度。厚さはiPadAirの6.1mmより少し厚い6.9mm。A9Xチップを搭載し、処理速度はA8Xの1.8倍高速。バッテリーは10時間。4つのスピーカーで迫力あるサウンドが楽しめる。シルバー、ゴールド、スペースグレイの3色。11月に発売。

 カバーにもなる「スマートキーボード」は、iPadProの側面に設けられた丸い3個のマグネット接点を通じて接続する。

 スタイラスペンのApple Pencilが面白い。画面に先端を押し当てた時の「位置」と「強さ(圧力)」「傾き」を検知し、圧力に応じて線の濃さや太さが変化する。傾きでも太さが変わり、書道やデッサンなどアート表現にも向きそう。マイクロソフトもオフィスでPencilに対応。文書への手書きの書き込みや、マルチタスキングを生かして、ワードとエクセルを画面の左右に開いておき、それぞれのファイルの間でコピー&ペーストができる。AdobeもiPadPro/Pencilに対応したデザインツールほか、フォトショップベースの修正、スケッチアプリを発表。

⚫︎Apple TV「未来のテレビはアプリだ」
 リモコンのSiriボタンを押して音声アシスタントのSiriを起動し、作品や俳優、音楽名などを話しかけることで、お目当の映画やテレビ番組、音楽などを音声で検索できる。音声操作で、番組の特定の場面に飛んだり、画面の下のほうに出演者の情報や、天気予報、スポーツの試合結果などを表示することもできる。

 リモコンの上部は平らな「タッチサーフェス」というインターフェース。ここをスワイプしたりタッチしたりすることで画面を操作できる。リモコンには加速度計とジャイロが付いていて、Beat Sportsのようなゲームではリモコンを振ることでバットを振る動作が行える。iOSベースのtvOS搭載。10月後半に発売。

⚫︎「もっとも先進的なスマートフォン」iPhone 6s/ 6sPlus
 クックCEOによれば、世界のスマートフォン市場でアップル以外を合計した伸び率が前年比10%なのに対し、iPhoneは35%も成長。とくに中国では75%も増え、それ以外の合計が4%減なのに比べると、大きな差が生まれていると強調。

 新型iPhoneのサイズは、前モデルと同じ4.7インチと5.5インチ。画面上をカラフルなコイがゆったり泳いでいる。Apple Watchと同様、動く壁紙(モーションウォールペーパー)を採用した。新色としてローズゴールドを追加。ボディには航空機産業で使われているアルミニウム7000系を使い、折り曲げ強度を高めている。より高強度のカバーガラスも採用。A9チップは、現行モデルのA8よりCPU速度が70%、グラフィックス処理は90%それぞれ速い。タッチIDも第2世代となり、2倍高速に。

 次世代マルチタッチ技術の「3Dタッチ」を組み込み、画面を押す指の圧力でコマンドが切り換えられショートカットのコマンドインターフェースとして使える。写真やメールなどを押すと内容が見られ、さらに押し続けるとファイルが開いたりする。

 本体裏のiSightカメラは12メガピクセルで50%画素数が増えた。カメラのフィルターやセンサーの部分も工夫。シャープなだけでなく、隣り合うピクセル同士で色の信号が混じり合わないようにし、本来の色を再現。4Kビデオ録画機能も搭載した。前面の5メガピクセルのFaceTimeカメラでは、周囲が暗い場合、液晶画面が瞬間的に光る「レティナフラッシュ」で光量を調整する。

 3Dタッチと写真を組み合わせた「ライブフォト」もユニークな機能。撮影しておいたスチル写真を指で押すと、ほんの短い時間だけ、その写真の短い動画が見られる。新型iPhoneは12日に予約注文開始、25日に発売。iOS9は16日にダウンロード開始。
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
2時間20分という長丁場の製品発表だったが、そのほとんどが事前報道通りの内容なのにはびっくり。それだけリークが盛んに行われている証だろう。中にはサプライヤー筋だけではなく、アップル側が意図的に流している情報もありそう。さて、今回の中で個人的なイチ押しはiPadPro。強力な入力デバイスとして五感と創造力を刺激してくれそうだ。

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