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【今週のリケジョ】社会インフラを支える

明電舎・嶋田菜子さん
 明電舎の嶋田菜子さん(31)は、同社の製品に用いる部品の品質評価や製品不具合時の原因調査を手がける。インフラ向けの特殊な製品が多いため、その業務は場数が問われ、知識や経験不足を痛感することもある。だが「社会インフラを支える重要な仕事で、常にやりがいを感じる」と充実した日々を送る。

 高校生のころから化学の研究職に憧れを持っていました。大学は法政大学で、当時の工学部物質化学科に入学。同分野の大学院にも進学し、機能性材料の合成などを研究しました。明電舎に入社後は専門分野を生かせる研究開発本部に配属。製品に用いた部品の品質や調査、分析を行っています。学術的な知識だけでなく、経験がものをいいます。

 キャリアアップに向けて、海外研修生制度を活用しました。シンガポールに2年間転勤し、電気系の全く新しい業務にチャレンジ。転勤は結婚直後の決断だったため「本当にいいのか」と上長から心配されましたが、「結婚したからこそ仕事に集中できる」と思いました。海外ではインフラを整備することで大きなやりがいを感じました。また、文化の違いについて理解を深めるきっかけになりました。

 現在、第1子を妊娠しており、これから産休に入ります。妊娠してからも上司や同僚が支えてくれ、仕事は苦ではありませんでした。ただ、2―3年かけて進めるプロジェクトについては参画を断念しました。育休を含めると現場への復帰には時間がかかるためです。しかし、こうした時こそと、代理人材の選定や業務の引き継ぎなどの円滑な進め方を上長と相談しながら考えました。結婚や妊娠、出産を経てもキャリアアップすることで女性従業員のロールモデルになりたいです。

 休日はゴルフやドライブなどに出かけることが多いです。住んでいる静岡県には海や山、川がそろっており、退屈しません。(文・写真=渡辺光太)
日刊工業新聞2019年10月28日

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