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次世代冷媒開発急げ、経産省が支援へ予算増額

年末めどロードマップ
 経済産業省は空調や冷凍・冷蔵機器に使われる次世代冷媒の開発や普及策を強化する。次世代冷媒の評価や機器性能向上を支援する事業の2020年度予算を19年度比10%増の7億2000万円にする概算要求をした。また19年末をめどに次世代冷媒の技術開発ロードマップを策定する。温暖化対策のために国際的にも次世代冷媒の普及が急がれており、同省は日本の産業界の技術開発を後押しする。

 現状の代表的な冷媒である代替フロンは、温暖化を招く作用が強い。国際ルールであるモントリオール議定書「キガリ改正」が1月に発効し、温暖化対策強化のため代替フロンの段階的な使用削減が決まった。日本は29年に70%減の義務がある。

 そこで国は温暖化の作用が低い次世代冷媒を「グリーン冷媒」と呼び、開発や代替化に力を入れている。経産省は20年度の予算を増額し、グリーン冷媒の安全性を評価する手法を確立し、普及を後押しする。また新規冷媒を採用しても省エネルギー性が損なわれない機器の開発も支援する。

 グリーン冷媒の普及の時期がわかる技術開発ロードマップを策定し、空調や冷凍・冷蔵機器メーカーには採用時期、ビルや商業施設には機器更新の目安を示す。どの機器も10年以上は使われるため、キガリ改正達成を念頭に置いた長期的な普及計画が必要となる。

 国際的にも冷媒をめぐる議論が活発だ。5月にフランスであった先進7カ国環境相会合では、温暖化の抑制と冷却機器の省エネ化も目指すイニシアティブの設立が決まった。

 22日には国連総会が開催中の米ニューヨークで代替フロン対策の会議があり、小泉進次郎環境相がグリーン冷媒の開発など日本の取り組みを世界に発信する予定だ。

                       
日刊工業新聞2019年9月20日

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