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米国防総省が産学官製造イノベーション拠点、次世代フレキシブル電子デバイスで

アップル、クアルコム、ボーイング、GM、スタンフォード大、MITなど参画
 米オバマ政権は28日、米国防総省が主導し、官民共同で次世代フレキシブルエレクトロニクスの製造イノベーション研究拠点を設立すると発表した。アップル、クアルコム、ボーイング、ロッキード・マーティン、ゼネラル・モーターズ(GM)など民間企業96社のほか、スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、ハーバード大学、MITといった大学・研究機関も含め計162機関が参画する。

 この研究拠点は、シリコンバレーのサンノゼに本部を置く「フレックステック・アライアンス(FlexTech Alliance)」。民生用、軍事用のいわゆるデュアルユースでの応用を目的に、折り曲げ自在なウエアラブル電子デバイスなどの研究開発を行う。同時に、今後発展が想定されるこの分野での米国の競争力強化を狙う。日系ではシャープアメリカ研究所が参加する。

 具体的な応用としては、医療ヘルスケアやフィットネス用のウェアラブルデバイス、高齢者や兵士の生体情報をモニターするバイオマーカーや体内埋め込みデバイス、高齢者や負傷した兵士を支援するアシストスーツ、高圧や高音という厳しい環境でも機能する航空機・自動車向けの内蔵センサー、安全保障向けに軽量ロボットや陸海空・宇宙での利用も含めた次世代イメージセンサー、サイズを大幅に小型化し複雑な形状に対応したり衣服や布地と一体化した電子デバイス、などを想定している。

 予算は国防総省が7500万ドルを出資し、産業界や大学、地域政府の拠出分も含め、5年間で計1億7100万ドルを予定。フレックステックは米政府が全部で9カ所予定している製造イノベーション研究拠点のうち7番目のもので、西海岸では初めて。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
米政府の製造イノベーション研究拠点が日本と大きく違うのは、その多くを国防総省が後押ししている点。軍事のハイテク化とともに、先端製造業で米国の世界的リーダーの地位を確固たるものにしようとしている。元をたどればインターネットやGPSも軍事研究の産物。いいか悪いかは別として、デュアルユース狙いで今後、新しいイノベーションが生まれる可能性は高いだろう。

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