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鹿島社長、新国立競技場の応札「慎重に判断」

政府、総工費の上限1550億円で決定。資材や技能者を確保できるか
鹿島社長、新国立競技場の応札「慎重に判断」

解体した旧国立競技場

 鹿島の押味至一社長は日刊工業新聞とのインタビューで、9月にも実施される新国立競技場の再入札について「調達を勘案した上で応札するかどうかを決めたい」との考えを示した。首都圏を中心に建設需要が旺盛な中で、資材や技能者を十分に確保できるか熟慮して応札を判断する方針だ。

 押味社長は資材調達について「1―2年先まで予約で枠取りされている」として、新国立競技場を受注した場合に新たに資材調達する必要があると指摘。入札に関する要項が示された段階で、資材を十分に調達できるかどうかを検討する。同時に、建設作業の工程ピーク時に合わせた技能者確保や、協力会社の資材生産能力など、全体の施工能力を吟味した上で「慎重に判断したい」としている。

 新国立競技場の整備計画を巡っては、当初1300億円と想定された総施工費が2520億円にまで膨らみ、批判が高まった。安倍晋三首相は7月に整備計画の白紙撤回を表明し、政府は8月14日に再検討に向けた基本的な考え方を示した。今月中に性能や工期、コストなどを盛り込んだ整備計画を策定し、9月初めにも公募型プロポーザル方式を実施する予定。2020年春までの完成を目指す。

 
 (youtubeより)
2015年08月28日 建設・エネルギー・生活
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
撤回されたザハ・ハディド氏の旧設計案では、スタンドや周辺部分を大成建設が、巨大アーチを含めた屋根部分を竹中工務店がそれぞれ施工する予定だった。両者は再度入札に参加するという。9月上旬のコンペは、設計・施工一体の「デザインビルド」方式で公募する。そのほかのスーパーゼネコンはどうするか、ザハ氏も動向も気になる。同氏の事務所は先日、過去2年間で検討した設計概要についてのビデオ・プレゼンテーションを公表。原案を破棄するのではなく、活用すべきだと改めて主張している。仮にザハ氏側が参加しても政府は採用しないだろうが。

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