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韓国への不信感あらわ、日本は3品目以外の輸出規制にらむ

対立は泥沼の様相、さらに溝がさらに深まることは必至
韓国への不信感あらわ、日本は3品目以外の輸出規制にらむ

事務的説明に臨む経済産業省の岩松潤貿易管理課長(左手前)=12日午後、同省(代表撮影)

 日本政府が発動した韓国に対する輸出規制強化措置をめぐって、日韓対立が泥沼の様相を呈している。先週末に開かれた日韓両政府の事務レベル会合は、双方の主張がかみ合わないまま終了。その後、韓国側が会合の位置付けや内容について日本の説明を否定し、日本側が緊急会見を開いて反論する事態に発展した。日韓関係は一段と冷え込み、解決の糸口は見えていない。

 日本側は先週末の事務レベル会合の冒頭、韓国側と今回の会合が協議ではなく事実確認の場と合意した上で、輸出規制強化措置は安全保障上の輸出管理制度の運用見直しであり世界貿易機関(WTO)違反ではないと説明した。措置を発動した理由については2国間貿易の中で「不適切な事案」が発生したためと主張し、韓国の貿易管理体制の脆弱(ぜいじゃく)性を指摘した。一連の説明について会合の場で韓国側から要望や反論はなかったとしていた。

 ところが会合に出席した韓国政府当局者がその後報道陣の取材に応じ、日本側の説明について理解も同意もしていないと反発。会合で措置に対する遺憾の意を表明し「原状回復と措置の撤回を要請した」と日本側の説明と異なる主張を展開した。会合は「協議だ」とも述べた。

 これを受け、日本側は13日に緊急会見を開き、会合で韓国側に説明した経済産業省の岩松潤貿易管理課長が「問題提起はあったが、撤回要請はなかった」と韓国側への不信感をあらわにした。さらに日韓双方で合意した会合内容の公表範囲を超えた発言や事実誤認があったとし、韓国大使館に抗議したことも明らかにした。

 日本政府は韓国側との会合結果も踏まえ、輸出管理の優遇措置「ホワイト国」から8月にも韓国を除外する方針だ。フッ化水素など半導体材料3品目以外にも、韓国向けの輸出の際に従来の包括から個別申請に切り替わる品目が増える。

 他方、韓国政府は措置撤回に向け国際社会への働きかけを急いでいる。米国には政府高官を送り韓国の立場に理解を求めたほか、国連安全保障理事会などに、日本の措置に関する調査を依頼する考えを表明している。

 こうした中、WTOは23、24日の両日にスイスで開く一般理事会において日本の措置を議題に取り上げる方針。韓国側の要請が認められた格好だ。日本は従来通り正当性を主張する見通し。日韓の溝がさらに深まることは必至だ。
日刊工業新聞2019年7月15日

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