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物流大手は全社が増収に、荷動き堅調で料金適正化進む

19年3月期、車部品などの航空貨物も寄与
物流大手は全社が増収に、荷動き堅調で料金適正化進む

宅配便事業は市場全体に単価改定が波及

 物流大手9社の2019年3月期連結決算が15日出そろい、相次ぐ自然災害に見舞われたものの、国内外の堅調な荷動きを背景に、全社が増収だった。国際貨物は航空便を中心に好調。宅配は人手不足を背景に労務費や外部委託費の上昇した一方、荷主の理解を得て料金適正化も進んだ。各社の業績は前期に比べて大幅に改善し、全9社が経常・当期増益を達成した。

 利用運送(フォワーディング)事業は、年明け以降に減速したものの、自動車部品や電子部品、製造装置など航空貨物が好調。航空輸出の売上高は、日本通運が前期比23・9%増、近鉄エクスプレスが同9・3%増。日通は西日本豪雨による長期運休で、鉄道貨物の取り扱い個数が前期比11・5%減った。

 企業から物流業務を受託するサードパーティロジスティクス(3PL)事業では、作業コストの上昇や自然災害の影響があった。日立物流は、料金改定や提携する佐川急便との協創による新規案件の獲得、生産性改善効果により、国内で前期比2%の増益となった。

 宅配便事業は、電子商取引(EC)の成長による荷物量拡大は継続。ヤマトホールディングス(HD)の大口顧客との契約見直しや引受量制限で、市場全体に単価改定が波及した。SGHDは取扱量が前期比2・2%増で単価も同11・5%上がった。

 日本郵便は取扱量を同7・6%伸ばした。ヤマトHDは「大口も出荷個数が少なかった」(芝崎健一副社長)と取扱量を同5・1%減らした一方、単価は同14・1%上がって収益を押し上げた。

 20年3月期は「航空貨物が足元で弱くなっている」(日通の増田貴取締役)ように景気減速が懸念されるが、おおむね堅調に推移すると見る。各社の連結業績は、子会社の異動と為替影響を織り込んだ日立物流と、機工事業で仕事量の減少を見込む山九を除き、増収の見通し。日通は同一労働同一賃金導入など「社員制度改革」をスタートさせるため、減益を想定している。
                 
日刊工業新聞2019年5月16日

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