ニュースイッチ

ファミマ・ユニー経営統合で基本合意。次の焦点はGMS事業

統合新会社が運営か、提携先探しか。注目される次の一手
ファミマ・ユニー経営統合で基本合意。次の焦点はGMS事業

左は今年3月の両社長の会見

 ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(GHD)は経営統合で基本合意に達した。8月末に正式発表の運びだが、協議では焦点となっていたユニーの総合スーパー(GMS)事業も統合新会社に入る形で決着した。一時はGMSを切り離すとの観測まで浮上し、協議の長期化が懸念されていた。今後の焦点は統合後、いかにGMSを立て直すかに移る。GMSの対策で想定されるシナリオを検証した。

 【スポンサー探し焦点】
 統合検討委員会の傘下にはコンビニ部会や総合スーパー(GMS)・スーパー部会、海外事業部会などが設置されており、各事業の統合条件など最終的な詰めの作業が行われている。関係者によると協議において難航したのが「ユニーのGMS事業をどうするか」だったという。

 GMSとコンビニの相乗効果は、セブン&アイHDやイオンにおいても成功しているとはいえず、ファミマとユニーGHDが統合してもこの構図は変わらない。
 ファミマとユニーGHDは、コンビニとGMS込みで統合を果たす方針だが、今後のGMS再生で考えられるシナリオを描いてみた。

シナリオ(1)外部企業との提携または買収


 GMS主体のユニーは店舗数約230店、売上高約7500億円。すでに大手各社がGMS事業の再生で試行錯誤しているように、ユニーにとっても自力再生の道は平たんではない。そこで、中長期では外部企業と提携し、相乗効果や規模のメリットを引き出す戦略が考えられる。

 外部企業で浮上してくるのが当然ながら大手流通業。イオン、セブン&アイの名前が浮かぶが、三重県を発祥の地とするイオンは、ユニーの地盤である愛知、三重地区の店舗数が多い。ユニーを買収しても自社競合を起こすことが予想される。

 セブン&アイも、「セブン―イレブン」店舗を活用したオムニチャネル戦略に力を入れており、祖業であるイトーヨーカ堂に注力する戦略は読み取れず、業界大手2社がユニーGHDのGMSを取得する可能性は低い。このため、大手2社以外にGMSを展開する企業や、業態転換などで活性化できる企業を探すシナリオが考えられる。
 

シナリオ(2)投資ファンド出資によるリストラ


 ユニーGHDのユニーの15年2月期の営業利益は前期比14・3%減の104億円の減益。しかも売上高営業利益率は1・5%程度と低収益体質。不採算店など抜本処理が進んでいないことも一因だ。事実、15年2月期には減損処理を95億円程度計上。この減損計上で当期損益は赤字となった。

 店舗網と人員のリストラが進み、ダイエーのように食品スーパーに特化した業態に転換するなど大胆な再構築策をとれば、規模は縮小するが、収益力は回復するのではないかといわれている。

 シナリオ(1)、(2)のいずれにしても、スポンサーがつくかどうかが焦点になりそうだ。主力のコンビニ事業に加えて、GMS事業を今後どう着地させるか、難しい舵取りが迫られる。
日刊工業新聞2015年08月19日 建設・エネルギー・生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ファミリーマートとユニーグループホールディングスの統合では、コンビニ事業のファミマとサークルKサンクスの統合作業は問題がありませんが、総合スーパー(GMS)事業はコンビニ事業との相乗効果はあまり期待できません。このためGMSの活性化は今後の焦点となりそうです。

編集部のおすすめ