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英の医療系ベンチャーに出資した、老舗重電メーカーのチャレンジ

シンフォニアテクノロジー、再生医療装置に参入
英の医療系ベンチャーに出資した、老舗重電メーカーのチャレンジ

シンフォニアテクノロジーの斉藤文則社長

 シンフォニアテクノロジーは再生医療装置事業に参入する。神戸医療産業都市推進機構(FBRI、神戸市中央区)と組み、今夏までに英国の医療系ベンチャーのSAKARTA(サカルタ)に出資する。幹細胞の大量培養から品質管理・保証までを一貫して自動化する装置を開発する。再生医療周辺産業は2030年に世界で5兆円を超える見込み。シンフォニアはオープンイノベーションを活用して同市場に進出。まず欧州を中心に展開し、5年後に年間売上高で50億円規模の事業に育てる。

 シンフォニアを含め、日本側でサカルタの株式の25%弱を取得する予定。シンフォニアが装置を、神戸医療産業都市推進機構が培養技術をそれぞれ開発。サカルタはスコットランド開発公社の助成を受け、iPS細胞(人工多能性幹細胞)と間葉系幹細胞を対象に、英国機関などとの実証実験を進める。

 20年度までに医薬品の製造・品質管理基準(GMP)適合施設で稼働させるための規制当局への対応を終え、21年度に商用化する。シンフォニアが装置を供給し、サカルタを通じて販売する。

 推進機構は細胞療法研究開発センターで細胞培養法や品質検査法の規格化研究を進めている。シンフォニアは同研究成果を活用し、半導体製造装置で培ってきたクリーン化技術と組み合わせ、培養状態をモニタリングしながら最適なプロセスを実行する自動化装置を開発する。

 細胞の種類によって異なるが、培地交換など人の手を介する作業時間を最大60分の1程度短縮できる見込み。民間調査会社によると世界の自動培養装置市場は20年に650億円を超え、30年に世界で1400億円を突破するとの見方がある。アジアや北米市場への展開も見据える。

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