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カプコンのアジア戦略は台湾から。オンラインゲーム「自前主義」の勝算

「アジアの売上高比率を5%から10%に高めたい」(越知カプコン台湾董事長)
カプコンのアジア戦略は台湾から。オンラインゲーム「自前主義」の勝算

アジア地域でオンラインゲームの開拓拠点となるカプコン台湾

 「アジアは違法コピーの海賊版が横行し稼ぎにならないといわれてきたが、今や無視できない」。カプコンの台湾子会社、カプコン台湾(台北市)の越知雄一董事長兼総経理はアジア市場のゲーム需要開拓を使命に、各国を飛び回っている。

 カプコンのゲームソフト販売は日米欧が大半で、アジアでの売上高は全体の5%。しかし、アジアも通信の高速大容量化やスマートフォンが広まり、海賊版を防ぎやすいパソコンやスマホでの双方向オンライン方式ゲームが急成長している。

 カプコン台湾はオンラインゲームの開発から配信・運営まで一貫して自前で手がける。中国では5社、タイでは1社の現地企業と組み、こうした事業を委託している。

 「台湾は日本式経営の許容度が高く人材も集まりやすい」(越知氏)ためアジア拠点に最適という。アジアでの開発は現地語への翻訳、現地文化に適したストーリーや難易度への変更、高速でない通信環境に合わせたデータ縮小が中心となる。

 「アジアでは速さや強さといったスポーツ感覚でゲームを楽しむ傾向が強い。いずれは初めから現地向けに開発したゲームも投入したい」と、現地化拡大を視野に入れる。

 中でも中国は2015年にも米国を抜き、世界一のゲーム市場になると予想される。「中国では日系の競合他社だけでなく、現地企業も経営や洗練化のスピードが速く脅威だ。当社はゲーム機とオンラインの両方にソフトを供給できるのも強み。先は読みにくいがアジアの売上高比率を10%に高めたい」と意気込む。
(文=田井茂)
日刊工業新聞2015年08月11日 モノづくり面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
オンラインゲームは、「アジアを制したものが世界を制する」のは間違いない。その中でも日本、中国、台湾、韓国の4地域が世界の主導的な立場を担うのではないか。

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