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大衆薬卸の大木がドラッグストアを変身させる

もっと身近な”生活基幹産業“へ。商品充実させコンビニ化狙う
大衆薬卸の大木がドラッグストアを変身させる

店頭にコミュニケーションコーナーを設置を提案

 大木は主力取引先であるドラッグストアに対し、現在の顧客の平均来店頻度である月2・5回を週1回にまで高める提案活動に乗り出した。健康寿命延伸関連商品の取り扱いの拡大や各種料金の収納代行、ATMといった新サービスの取り込みに加え、ドラッグストアをもっと身近な存在として”生活基幹産業“にしていこうという取り組みだ。

 大木によるとコンビニエンスストアの1日当たりの来店者数は平均して1000―1200人。これに対しドラッグストアは500―600人という。コンビニには1人の顧客が日に2回程度来店しているのに、ドラッグストアは月に2・5回が平均だ。

 ドラッグストアの1日当たりの来店客数を少なくても「1000人」に引き上げ、来店頻度を月単位から「週1回」まで高める。そのためにはどうすればいいかという視点で商品やサービスの提案を始めた。

 提案の具体的内容は店頭でのセルフチェックを前提に、体組成計や健康寿命延伸産業関連の商品の取り扱い、機能性表示食品制度を受けた体脂肪削減に効果のある医薬品や健康食品の拡充、さらに新しい切り口の漢方などとテーマごとの品ぞろえ提案を展開する。

 さらに、来店頻度を上げる施策としてコンビニ機能の取り込みを提案する。大手卸、国分の子会社である国分グローサーズチェーンが展開する「各種料金の収納代行」「住民票などの交付」「銀行ATMの導入」などのサービス業務を各カテゴリー別やパッケージ化して提供するほか、通販・宅配サービス、スマートフォン用のアプリなども提案する。

 少子高齢化の進行、政府のかかりつけ薬局化の推進などもあり、店舗には気軽に健康相談ができたり、新サービスの情報を発信したりするコーナー「コミュニケーションコーナー」の設置も推奨する。

 松井秀夫会長兼社長は「現在日本では65歳以上が3300万人だが、10年後には3650万人になる。今までの(ドラッグストアの)売り方でいいかどうか。棚割を見直して、高齢者のサービスをもっと取り込み、マーケットを作り出していかなければならない」と話す。

 高齢化時代に向けて主力取引先への顧客来店数、来店頻度の引き上げで、ドラッグストアの変化を促していく。
日刊工業新聞2015年08月06日 建設・エネルギー・生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 大木は高齢化社会のコミュニティを形成する人たちの健康を守るのはドラッグストアという信念の下、新しい提案を打ち出しました。ドラッグで健康増進の商品政策や、コンビニの代替機能を持とうということでATMや料金の収納代行といったサービスの積極導入まで訴求しています。  最近のドラッグは生鮮食品や弁当や総菜まで置いてあるところも増えていますから、ますます業態の垣根が低くなるなかで、大木はドラッグストアらしいあり方を後押しする格好です。

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