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美容・ヘルスケア特化の求人サイト、急成長が続く理由は?

業界特化型求人サイトを運営するリジョブ、過去の苦い経験を生かす
美容・ヘルスケア特化の求人サイト、急成長が続く理由は?

フィリピンでの美容セラピスト養成講座

**会員登録30万人
 リジョブは業界特化型の求人サイトを運営する。美容・ヘルスケア業界向け求人サイト「リジョブ」を展開し、会員登録数が累計30万人以上。全国トップクラスのシェアを握る。採用成果報酬という仕組みを導入し、既存の大手求人サイトよりも割安で利用できるサービスを提供。利用者視点のサービス開発で、右肩上がりの急成長を続けている。

 会社を率いる鈴木一平社長は2014年、28歳の時にトップに就任した。リジョブがインターネット企業のじげんにグループ入りし、じげんから転籍。鈴木社長は「組織づくりを事業開発よりも半歩くらい先に進める意識を持ちながら経営を進めるのが大事」と力を込める。その思いには、過去の苦い経験が生かされている。

 鈴木社長は起業経験者。アパレル通販の会社を立ち上げ、マーケティング戦略を武器に一時は年商8億円の規模にまで成長させた。ただ、“マーケティング偏重経営”は万能ではなかった。人の意見よりも理論を優先した結果、人が離れ立ちゆかなくなり、その会社は倒産した。

目的意識共有化


 「何であのときに失敗したか。その反省を今の経営には生かしたい」。社長就任来、社内での意見交換を積極化したほか「『どういう社会をつくっていきたいか』にフォーカスを当てたソーシャルビジョン」を策定し、目的意識の共有化を進めた。その取り組みを通じて一枚岩となった組織は、3期連続で増益率30%以上という成果に結実した。

 現在は美容・ヘルスケアのほか、介護業界特化型の「リジョブ介護」を展開。また途上国での美容セラピスト養成講座の運営や、フィリピンで日本食の社食配達サービスやセラピストの派遣を行うなど事業領域を拡大している。これは単なる多角化ではなく、理想に向けた布石だ。

 アパレル出身の鈴木社長が目指す経営は“ユニクロモデル”。企画から製造、小売りまでを一貫して手がける事業モデルのリジョブ版だ。「自分たちが関わっているのは“おもてなし産業”。人づくりの『育成』に始まり『雇用支援』『サービス提供』までを一貫して手がけられれば、消費者のニーズや(美容師など)技術者のニーズに応えられる」と説明する。

ビジネスモデル


 鈴木社長は語る。「日本発で世界に発信できる人たちのお手伝いをさせていただいている」。日本の誇る技術とサービスがより発展するべく、既存サービスの雇用支援にとどまらない新たなビジネスモデルの確立に挑む。(大友裕登)
【企業プロフィル】
▽所在地=東京都新宿区百人町2の27の7▽売上高=33億円(18年3月期)▽設立=09年(平21)
鈴木一平氏
日刊工業新聞2018年12月17日

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