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「フリマアプリ」普及で事業環境は一変、子供服リサイクル業の破産

 中古子ども服のリサイクルショップを展開していたAKIRAは、リユース市場のCツーC(個人間取引)拡大が進むなか、2018年10月2日に破産手続き開始決定を受けた。

 05年11月の設立。創業当初は、建設業者として営業していたが、社長自身が育児経験を経たことで、子ども服に特化したリサイクルショップの展開を着想。08年10月には既存事業から撤退しリサイクルショップ「ECO&KIDS AKIRA」を本格稼働させた。

 一時は事業規模が順調に拡大。直営店とFC(フランチャイズチェーン)店を併用する形で出店し、店舗数は15年には65店舗、16年には82店舗に拡大。一時は新規株式公開を視野に入れるほどの勢いがあった。

 しかし、業界環境が変化していくなかで、陰りが見え始めていた。それがメルカリなどリユース市場に特化したEC(電子商取引)サイトの台頭だ。同社も、大手ECサイトを活用。一方で、仕入れ方法は簡略化を進め、子ども服の売り主が手間なく販売できるスキームを実現し、仕入れ網と販売網の両輪を強化していた。

 それでも、「フリマアプリ」の手軽さを超えることは難しく、活路を見いだせずにいた。こうした競合の存在もあり、近年は実店舗での販売実績が落ち込み始め、FC店からは「加盟時の説明と違い、全然稼げない」などの反発を受けるようになった。

 16年には加盟金返還請求訴訟を提起されている。また、18年に入ると、取引先だけでなく、FC加盟店への入金の遅れなどの情報が聞かれるようになり、10月1日には「支払いがまったくできない」状況に陥り、翌日に自己破産を申請した。

 市場環境の変化が激しい昨今、どんなに優れたビジネスモデルでも、あっという間に“古いビジネスモデル”になる。企業には変化への対応力がより一層求められるようになっている。
(文=帝国データバンク情報部)
◇(株)AKIRA
住所:東京都江東区東陽6―3―2
代表:東晃司氏
資本金:9550万円
年売上高:約9億3700万円(17年3月期)
負債:約13億1300万円
日刊工業新聞2018年10月30日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
CtoCは便利。双方の旨味も多くなりやすい。それに、やり取りする相手とのコミュニケーションも取りやすく、使ったことのないリサイクル業者より安心感があったりする。

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