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未来では異常気象が異常ではなくなる、「温暖化」対策待ったなし

 7月初め、西日本を中心に豪雨が襲い、19日現在、14府県で223人の方々が亡くなった。亡くなられた方々を悼むとともに、被害にあわれた方々に、お見舞いを申し上げます。

 一方、関東甲信越地方は気象庁観測開始以降初めて、6月に梅雨が明けた。梅雨明け以降、各地で35度C以上の猛暑日が続いている。23日には、埼玉・熊谷で41・1度Cと日本最高気温をつけた。炎天下、アスファルトの上を歩くと、頭がくらくらする。熱中症による搬送者も多数に及ぶ。

 これだけの豪雨や異常な暑さが続くと、地球温暖化がいよいよ現実味を帯びてきた。2015年12月の国連気候変動枠組条約締約国会議で、産業革命時代からの温度上昇を2度未満に抑えるというパリ協定が決議された。

 そのため今世紀後半に人為起源の温室効果ガス排出をゼロにするのが目標だ。だが、今夏の気温は2度上昇を超えていると思われる。

 世界気象機関(WMO)によると、世界の平均気温はエルニーニョ現象があった16年が史上最高、15と17年がそれに次ぐという。今年は16年を上回るのではないか。産業でも家庭でも温室効果ガス排出削減の努力を加速しなければならない。それしか、わが身を守るすべはないようだ。
日刊工業新聞2018年7月24日
穂川果音
穂川果音 Hokawa Kanon 気象予報士
 未来では、異常気象が異常ではなくなる。こう言われています。21世紀末には、どのような気候になるか。このまま温室効果ガスが増えていった場合、極端な大雨の発生回数が増えると予想されています。短時間降水(1時間に50ミリ以上)の年間発生回数は全国平均で今よりも2倍以上に。台風の発生数は減るもののスーパー台風が発生しやすく、また今までよりも日本列島に襲来する可能性が高くなる。日本は全国平均で4.5℃上昇し、例えば東京の気温が現在の屋久島に近い値になると予想されています。  熱中症に対しては、より深刻に取り組むことになるでしょうし、食物も、今まで作れたものが作れなくなってしまう事も考えられます。よりよい未来を作っていくために、温室効果ガスの排出量を減らす意識を、少しでも多くの方が持ち、対策をとることが大切です。

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