「セブンドーナツ」は、なぜべちゃっとしない食感なのか?6億個が売れる理由

広がるセブン―イレブンの“コーヒー経済圏”(後編)

 入れ立てコーヒー「セブンカフェ」をヒットさせたセブンーイレブン・ジャパンが店内のコーヒー経済圏拡大に向けて次に着目したのが「ドーナツ」。ドーナツ市場は大手チェーンの寡占状態が続いていたなかで、“コンビニの巨人”の参入は衝撃をもって受け止められた。しかも初年度から6億個という高い目標を掲げている。セブンイレブンには勝算があるのだろうか―。

 「セブンカフェ」の販売を始めてから販売データを追っていくと、入れ立てコーヒーとペストリーや調理パン、菓子パン、サンドイッチなどと組み合わせで買っていく顧客が意外にも多いことがわかった。

 セブンイレブンは得意のマーケティング力を発揮していく。「商品の組み合わせ販売は朝、昼のピークタイムの販売が多い。ところが、アイドルタイムといわれる午後2時、3時ごろも結構、買っていかれる方がいる。コーヒーとの組み合わせを考えた時に、一番親和性の高いのがドーナツという結論になった」。セブンイレブンの和瀬田純子執行役員は、参入の経緯を説明する。

 店舗に手間をかけないことが、結果としておいしいものを提供できる

 では、どうすればおいしいドーナツを提供できるのかー。課題は、使用する食材に制約されず、食感やおいしさを維持するための生産やデリバリー体制の構築。さらに店内の販売什器を、どのような仕様にするかも重要なポイントとして浮上した。

 「ベンダー生産」や「店内調理」など複数の選択肢を検討したが、店舗オペレーションに負担がかからない、ベンダーによる生産を決断する。「店舗側に手間をかけないことが、結果としてお客様においしいものを提供できるのではないか」(和瀬田執行役員)という方程式が働いた。

 工場で安定した品質のもの作って出す。生産とデリバリー体制は固まったが、最後に店頭でドーナツを長時間保存しておく什器の開発が必要不可欠。ドーナツは現在、ベンダーから店に届いてから、12時間陳列して販売する体制を敷いている。この間に食感やおいしさを損なわない什器が条件になった。普通の箱に入れて、温度管理も何もしなければ、チョコは溶け、砂糖もべちゃっとしてしまう。店内販売には温度をコントロールできるかがカギだった。


広がるセブン―イレブンの“コーヒー経済圏”(前編)

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