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京阪、3000系にも「プレミアムカー」導入へ。京都―大阪の全特急に連結

利用者の満足度が高く
京阪、3000系にも「プレミアムカー」導入へ。京都―大阪の全特急に連結

20年めどに現在の「8000系」に加え「3000系」でも展開する調整に入った(車両は3000系)

 京阪電気鉄道は有料座席指定車の特別車両「プレミアムカー」導入を拡大する。2020年をめどに、現在の「8000系」に加え「3000系」でも展開する調整に入った。プレミアムカーは17年8月に導入したばかりだが、利用が好調で鉄道の収益改善効果も高い。通勤・通学時間の混雑にも配慮しつつ、堅調な京都―大阪間の観光・ビジネス需要を捉え、移動の付加価値を訴求する。

 3000系各編成8両のうち中間車1両を改造。早ければ19年度にも着手する。需要次第では、1編成当たりのプレミアムカーを2両に増やして、団体客や予約利用にも備える考えだ。

 京阪は京都・出町柳駅と大阪・淀屋橋駅間で料金不要の特急を設定する。昼時間帯1時間当たり6本運転し、このうちプレミアムカーを連結する8000系は4本。3000系にも導入すると、10分ごとに発着する特急全編成でプレミアムカーが提供可能となる。

 京阪のプレミアムカーは、横1列に通路を挟んで2席と1席が並ぶ。リクライニング対応の広い座席は、コンセントや大型テーブルを備えてビジネス利用を意識。無線LANや大型荷物スペースを設け、訪日外国人観光客の利用にも対応する。

 京阪は関西の私鉄でも輸送人員の減少が顕著で「ピーク時から3割減った」(首脳)。景気回復で下げ止まっているが、底割れを防ぐためには鉄道の復権・活性化策が課題だ。
日刊工業新聞2018年7月10日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
切り札として導入したプレミアムカーは利用者の満足度が高く、固定客も増えている状況。特急1編成8両のうち1―2両を特別車両に設定しても、混雑による極端なサービス低下は招かないと見ている。1乗車当たり400―500円の座席券は、新たな運輸収入として収益へのさらなる貢献が期待できる。 (日刊工業新聞・小林広幸)

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