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EV・ADAS向けコネクターで日本航空電子が欧州を攻める

年度内投入
 日本航空電子工業は次世代自動車向けコネクターの試作品を欧州市場に投入する。2018年度内に高速通信で使用する伝送用コネクターや電気自動車(EV)向け大電流対応コネクターなどを試作する。欧州地域のニーズを取り込みつつ、車の「CASE」(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)の普及などに伴う車の新機能追加に対応する。量産は2020年度以降を想定する。

 日本航空電子工業の欧州車向けコネクターの売上高は約100億円。車載カメラへの搭載数が増加しており、デジタルカメラ用コネクターが売上高の半分占める。残りはボディー向けや安全装置向けのコネクターなど既存のニーズに関わる製品が多い。
 試作品は既存の需要ではなく、新機能の需要を捉えたコネクターとして拡充する。欧州市場は今後、EV化が進むほか、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)で通信が高速化するため、高速伝送用コネクターやEV向けコネクターの需要が増加している。同コネクターが採用されれば、売上高が2倍になる見込み。量産は現地法人のJAEフィリピン(カビテ州)の工場で行う。

 航空電子は13年に欧州地域の自動車市場を攻略する「欧州プロジェクト」を開始。英国やドイツ、フランスなどに拠点を整備した。先駆けてデジタルカメラ用コネクターを投入したことで欧州車に採用され、日系メーカーへの横展開などにも寄与した。16年以降は欧州内の拠点に営業や技術、マーケティング機能を追加。顧客とのコミュニケーションや本社との製品開発を円滑化させた。
日刊工業新聞2018年5月16日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
欧州車メーカーなどは既存のサプライヤーとの関係が深く、牙城を崩すのは容易ではない。そのため、航空電子は地域的な参入障壁が低い新機能向けの試作品を投入することで顧客数や1台当たりのコネクターの搭載数の増加を目指している。

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