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高止まりする鉄鋼製品在庫。反転は秋口以降?

自動車や建設など鋼材消費は鈍く「調整局面」は継続へ
高止まりする鉄鋼製品在庫。反転は秋口以降?

JFEスチール西日本製鉄所の熱延工程

 経済産業省は2015年7―9月期の粗鋼需要が前年同期比6・1%減の2618万トンになる見通しを示した。4四半期連続のマイナス。今回の予想については「景気は緩やかに回復しているものの、鋼材は在庫水準が依然高い状況で生産面に影響が出ている」(鉄鋼課)と説明した。

 7―9月期の鋼材需要見通しは、同3・4%減の2421万トンとした。このうち内需は同2・6%減の1593万トン。建設部門の公共事業や工場など非住宅向けの反動減に加え、製造部門の自動車や産業機械向けが減少する見通し。

 輸出は同5・0%減の828万トン。エネルギー関連の落ち込みや中国などアジアでの供給過剰で減少すると予想した。

 6月末の国内向け普通鋼鋼材のメーカー・問屋在庫は578万トンの見込みで、在庫率は1・58カ月。同省では「メーカーは今年に入り減産し筋肉質になっている。実需が好転すればすぐに結果が表れる」(同)と現状を悲観していない。
日刊工業新聞2015年07月06日 素材・ヘルスケア・環境面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
 経済産業省の粗鋼需要見通しは鉄鋼製品の需要の実態を反映している。消費増税後、国内自動車販売や住宅着工件数などが低調な中、新日鉄住金やJFEスチールなどが減産を続けているものの、まだ鉄鋼製品は供給過多の状況が続いている。所得の増加→個人消費の回復→鋼材需要の回復と結びついていくのか、注視する必要がある。

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