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大学ランキング、国際教養大はなぜ13位から一気に1位になった?

「国際性」で評価項目追加、でも教育の質は1年で変わらない
大学ランキング、国際教養大はなぜ13位から一気に1位になった?

国際教養大公式ページより

 英教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)を運営する英TESグローバルは、ベネッセグループと協力して行った2018年の日本の大学教育ランキングを発表した。

 2回目の今回は、新たに日本の大学が注力する「日本人学生の留学比率」「外国語で行われる講座の比率」を追加。「国際性」で昨年13位だった国際教養大学が1位になり、「総合」で同じく3位だった京都大学が東京大学と同じ1位になるなど、順位の変動が生じた。

 日本の大学教育ランキングの教育評価は4分野で行われた。調査手法の変更で大きく変動したのは「国際性」だ。国際基督教大学が3位(昨年は9位)、京都外国語大学が6位(同じく20位)、名古屋商科大学が7位(28位)、宮崎国際大学が11位(101位)、東京工業大学が17位(45位)となった。

 「教育成果」では企業の評判の比率を上げ、研究者の評判の比率を下げた。その結果、九州大学が3位(9位)、大阪大学が7位(2位)となった。

 「教育リソース(資源)」は、規模の影響を減らすよう見直され、東京医科歯科大学が4位(1位)、滋賀医科大学が6位(12位)、兵庫医科大学が7位(13位)と変化した。
                   
日刊工業新聞2018年4月5日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
 慎重な見方が評価やランキングでは欠かせない。数値や順位で浮き足立っていけない。そのことを二つの記事から読み取るとが可能だ。タイムズ・ハイヤー・エデュケーション系の日本の大学教育ランキングでの順位上下は、昨年と評価する項目の重みを数%ずつ変えるといったことで生じている。論文数値はともかく、教育の質自体が半年や一年で変わり、順位が変動したわけではない、と心に刻む必要がある。  国立大の評価反映は、約1兆円の交付金交付金のわずか1%分に対してのもの。「少なすぎる」との声があるが、今いる教職員の人件費の比率が高いため致し方ない。それでも文科省はかなり複雑で厳密な手法をとっている。それだけに社会の声が厳しくなれば、評価反映の割合をぐっと高めることが現実になるかもしれない。

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