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中部の樹脂金型3社が提携、技術交流や国内外で生産補完

世界市場で事業拡大を図る
中部の樹脂金型3社が提携、技術交流や国内外で生産補完

エムエス製作所公式ページより

 伊勢金型工業(三重県伊勢市、中川克己社長)、エムエス製作所(愛知県清須市、迫田幸博社長)、名古屋精密金型(愛知県東浦町、南谷広章社長)の樹脂金型メーカー3社は、国内外の生産拠点の相互補完と技術交流で提携した。自動車向けを中心に顧客対応を強化し、世界市場で事業拡大を図る。

3社は今後、国内では定期的に技術交流会を開き、人材育成などでも協力する。海外では納入する金型の現地での微調整や保守で相互に助け合う。

 伊勢金型はインスツルメントパネルやグリル向けが主力で中国の広東省と湖北省、米国、タイに工場を展開。エムエス製作所はウェザーストリップ用ゴム金型が主力で中国の上海と広州、インドネシア、メキシコ、タイ、インドに工場を持つ。名古屋精密はランプ用が主力でベトナムとタイに、それぞれ工場を構えている。

 自動車業界で車両や部品の現地生産が進む中、金型メーカーは世界レベルできめ細かな現地対応を求められている。今回提携した3社は限られた経営資源を共有して顧客の要望に対応、海外金型メーカーに対抗して生き残りを図る。
(右から)迫田社長、中川社長、南谷社長
日刊工業新聞2018年3月5日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
 3社の連携が実のあるものになって欲しい。一方で、金型などのモノづくりは大変革期にある。昨年、3Dプリンターを手がけるシリコンバレー発ベンチャーのカーボンが一躍脚光を浴びた。アディダスが次世代スニーカー「フューチャークラフト4D」でカーボンの造形技術を大胆に採用したからだ。  注目すべきは、装置ではなく利用権を売る同社のビジネスモデル。ハードよりも適宜アップデートされるソフトやサービスで価値を生む仕組みは、モノからコトへの転換を象徴する。技術レベルも高い。金型での成形では難しい斬新な形状、そして従来の3Dプリンターでは不可能な高強度を実現。独BMW、米オラクルなども採用した。日本企業ではJSRがカーボンに出資し国内ユーザーの開拓に乗り出すなど、世界中の大企業が可能性に着目する。  生産設備や金型など基盤技術でモノづくりを主導してきた日本だが、カーボンのような新勢力と協調・競争しつつ、勝ち残れるだろうか。

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