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ポカリなど1日80万本、1台のロボットでペットボトルキャップ供給

大塚製薬、作業の効率化に大きな成果
ポカリなど1日80万本、1台のロボットでペットボトルキャップ供給

段ボールを搬送する垂直多関節ロボット

 大塚製薬は機能性飲料「ポカリスエット」や栄養補助食品「カロリーメイト」などを製造する佐賀工場(佐賀県吉野ケ里町)でロボットを活用している。その仕事はペットボトル用キャップの供給で、キャップが入った段ボール箱の搬送からホッパーへの投入、段ボール箱の解体までを1台でこなす。

 佐賀工場で生産するペットボトル飲料は1日80万本。年間では1億本に及ぶ。キャップ1個の重さは数グラムだが、2700個入った段ボールの重さは約10キログラムにもなる。

 ロボット導入前は人が段ボール箱をパレットから下ろしてホッパーに投入していた。箱の解体や内袋の回収も手作業。6人がかりで、作業回数は1日当たり最大600回にのぼった。下ろす回数の多さやパレットの高低差に「作業が大変」との声があったという。

 ロボット導入の効果は大きかった。6人で18時間かかった作業が、3人で0・6時間で済むようになった。現在の人の役割は、パレットに積んだキャップをフォークリフトで運んでロボットに供給することや、空き箱とビニール袋の片付けなどの軽作業が中心となった。

 導入した垂直多関節ロボットは空き箱解体機能などを組み合わせたシステムを構成する。設置する広さは約30平方メートルで、大型機械の導入は困難だった。そのため1台でさまざまなハンドリングができるロボットを開発することで、現場のレイアウトを変えずにスペースに収めた。

 今回、導入したロボットは多様なハンドリングが肝となる。開発では段ボールの梱包(こんぽう)を開いて折り畳む作業に加え「柔らかい包材のビニールを扱うハンドリング調整に最も苦労した」という。

 キャップ供給作業では、さらなる省人化や完全無人化は想定していないという。だが、「他の工程でもロボット化の検討を行いたい」とロボット導入には前向きという。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
佐賀工場での導入事例を全国の工場に紹介しており、他工場でも同様のロボットが活躍する可能性もありそう。

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