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荷物スペースのマッチングはコインロッカー難民を救う?

エクボがサービス展開、18年中に1万店舗が目標
荷物スペースのマッチングはコインロッカー難民を救う?

観光客が増えると同時に「コインロッカー難民」も増えている(エクボ提供)

 インバウンド(訪日外国人)需要で観光客が増える中、荷物の預け場所が見つけられない「コインロッカー難民」が増えている。エクボ(東京都渋谷区、工藤慎一社長)は、空きスペースをもつ店舗と荷物を預けたい人のマッチングサービス「エクボクローク」を提供する。2017年1月のサービス公開から利用者数は増加。インターネットを介したシェアリング・サービス参入が物流業界に新風を起こす。

 利用者は、インターネット上で預ける店舗の場所・日時・荷物の個数を選択。利用店舗で、荷物を預けることができる。荷物を預かる店舗側も飲食店や宿泊施設など業種にこだわらず、空きスペースを提供するだけで、無料で副収入と新規顧客の獲得につなげることが可能だ。

 工藤社長は「コインロッカーだけではない、荷物預かりの新しい選択肢をつくりたい」とサービスの立ち位置を話す。17年10月はトランプ大統領来日によるコインロッカーの利用停止とハロウィーンのコスプレにより、荷物預かりの需要が高まり、サービスの評判が口コミで広まった。7割は外国人の利用者、預かり荷物の9割がスーツケースとなっている。今後は18年中に協力店舗数1万店舗と店舗数の拡大が目標だ。

 工藤社長は、起業前にウーバージャパン(東京都渋谷区)に勤めていた。「今後、荷物を預け先から空港などへ輸送していけるシステムも入れていきたい」(工藤社長)。ライドシェア(相乗り)などインターネットを活用した他のシェアリング・サービスとの連携なども見込める。

 しかし、預ける側は安全面の心配、受け手側も荷物預かりが殺到した場合や外国人への対応など懸念もあるという。現在はそういった顧客の声に耳を傾けながら、サービス改善に力を注ぐ。
日刊工業新聞2018年1月31日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
安全面の課題を突破できれば、物流業界へ新たな企業やサービスの参入が期待される。 (日刊工業新聞・大串菜月)

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