ニュースイッチ

京阪、インバウンドへ走る。

叡山電鉄に観光用車両
京阪、インバウンドへ走る。

叡山電鉄の観光用車両「ひえい」

 叡山電鉄(京都市左京区、塩山等社長)は、3月21日に観光用車両「ひえい」の営業運転を始める。叡山本線の出町柳駅(京都市左京区)―八瀬比叡山口駅間(同)を平日34本、休日24本運行する。火曜日は運休し、料金は片道260円。

 新車両は叡山電車の二つの終着点にある比叡山と鞍馬山の歴史や自然などを表現し、深緑色の外装に縦長の窓を配置した。座席はくぼみに深く着座できる「バケットシート」を採用、快適性を上げた。車内には車椅子スペースなども設置。訪日外国人観光客向けに、車外の行き先表示器は英語や韓国語など4カ国語で対応する。

日刊工業新聞2018年1月30日



ホテル4棟開業へ


 京阪ホールディングス(HD)は2018年春から20年春にかけて、沿線内外で新規ホテルを4棟開業する。増加する訪日外国人(インバウンド)やビジネス、レジャー客の宿泊需要を包括的に取り込む。全体の投資額は非公表。HD全体の客室数は既存の約3600室から4300室以上となる。JR京都駅北側に開業する「ザ サウザンド キョウト」へは174億円を投じる。結婚式場や美容室、スポーツジムなどを備え高級感を演出する。

日刊工業新聞2017年11月8日



関西の私鉄各社、台湾旅行者を誘客


 関西の私鉄各社が台湾旅行者の取り込みに動いている。南海電気鉄道と近鉄グループホールディングス(HD)はそれぞれ、4―7月にかけて台湾の鉄道関係者との協定を結んだ。また阪急阪神HDと京阪HDは、近畿運輸局と関西観光本部が9月6日から台湾で開催する大商談会に参加する。格安航空(LCC)の普及による関西国際空港の利用者増も追い風にし、集客力を高める方針だ。
 4月、南海電鉄は関西エアポート(大阪府泉佐野市)と組んで、台湾の桃園国際空港と現地の私鉄「桃園メトロ」との連携協定を結んだ。現在、空港アクセスに関する情報発信や、鉄道乗車券の相互販売などを検討している。南海電鉄は大阪・難波を中心に関空や和歌山市、高野山を結び、観光客誘致を図る考えだ。

 7月には近鉄グループHDと台湾鉄路管理局が友好協定を結んだ。台湾鉄路管理局は台湾の国有鉄道を運営する政府機関。近鉄グループHDの吉田昌功社長は「台湾は都市化も進み、有望な市場」と位置付ける。近畿日本鉄道の利用を促進し、三重県伊勢志摩エリアや奈良県などへ観光客を呼び込む。また台北駅の商業施設化に、近鉄不動産などグループの総合的なノウハウを活用し、グループ一体で誘客を進める。

 9月開催の第4回「オール関西 台湾大商談会」は6日が高雄、7日は台中、8日には台北で行う。今回初めてブロガーなど台湾の一般人約100人が参加する予定だ。鉄道会社にとっては、発信力ある消費者へ直接訴える機会となる。

 京阪HDグループの京阪レジャーサービス(大阪府枚方市)は今回の商談会へ初参加。台湾人に遊園地「ひらかたパーク」の冬のイベントなどをアピールし「訪日外国人のニーズを探りたい」(京阪HD広報)考えだ。

 阪急阪神HDの杉山健博社長は「関西の都市交通事業者間が協力することで関西全体の回遊性を高め、(訪日旅行者など)リピーターを増やすことが重要」と強調する。

 大阪府・市と複数の鉄道会社間で2031年開業を目指し整備を進める「なにわ筋線」への乗り入れなど、関西では鉄道会社間で連携の機運がある。着実に伸びる関西への台湾観光客に、各社は鉄道路線網の魅力をどう訴えるか重要になる。
(文=大阪・中野恵美子)

日刊工業新聞2017年9月5日


京阪の座席指定車両「プレミアムカー」(同社公式ページより)



明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
東京にいると京阪はあまり馴染みがなく、叡山電鉄が京阪グループだということを今回初めて知った。昨年夏から有料の座席指定車両「プレミアムカー」の営業運転を始め、約16億円を投じて「8000系」特急車両(8両編成)の6号車(計10両)を改造したとか。1910年(明43)の開業以来、京阪で有料の座席指定車両は初めて。同社は「今の時代、価値あるものにはお金を払ってもらえる。大阪から京都へ向かう訪日外国人需要も見込める」という。これは鉄道各社にも言えることだが、外国人を含む観光客だけでなく、沿線客(住民)の価値が高まる施策でないと本末転倒になりかねない。

編集部のおすすめ