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日本一長い無料トンネルの「収支」

栗子トンネル、財政再建へ批判も「道の駅」開設で賑わう?
日本一長い無料トンネルの「収支」

栗子トンネル(清水建設公式ページより)

 日本一長い無料道路トンネルが東北に誕生したのをご存じだろうか。福島市と山形県米沢市を結ぶ「栗子トンネル」で、長さは8972メートル。有料トンネルを含めると全国で5番目の長さだとか。

 昨年11月に開通した東北中央自動車道・福島大笹生(おおざそう)インターチェンジ(IC)―米沢北IC間にあり、同区間は高速道路ながら無料で通れる。1998年度に当時の日本道路公団が着工したが、採算を取るのが難しいとして、2003年度から国が税金を投じる「新直轄方式」で整備した。

 並行する国道13号の栗子峠は、急勾配や急カーブが連続し、冬季は降雪で大型車が年130台も立ち往生する東北随一の難所だ。実際に栗子トンネルを走ると、雪の降らない道を体験でき、ここで一息つくことができる。

 新直轄方式については、無駄な道路をつくらないという議論が、いつの間にか公団民営化後の新会社に赤字道路をつくらせない話にすり替わり、財政再建に逆行したという意見も根強い。

 とはいえ、冬季に安心して運転できることはありがたい。4月には同区間にある米沢中央IC(米沢市)近くに道の駅が開設される予定だ。今春は日本一のトンネルを通って、東北へのドライブをお勧めしたい。
日刊工業新聞2018年1月29日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
「直轄高速」という手法には賛否もあるだろうが、完成したからにはどう実をとるかを考えないといけない。山形県や米沢市では福島へヒト、モノ、カネが流れるストロー現象を懸念する声があるが、“首都圏や福島から近くなった山形”を経済や観光にどう生かしていくか。

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