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野村と大和のトップが見通す、今年の日経平均はどこまで上がる?

野村と大和のトップが見通す、今年の日経平均はどこまで上がる?

大和証券グループ本社の中田社長(左)と野村HDグループの永井CEO

**野村HDグループ・永井浩二CEO
 ―ファンド活用で事業承継などを支援する部門を新設しました。
 「中堅企業の事業承継の相談が増え、大企業でも事業再編のニーズが高まっている。これらのソリューションとして提案していく。上場企業や中堅企業と密接な関係を築いている当社の強みをいかし、事業は入札形式ではなく相談ベースで進めていく」

 ―新規株式公開(IPO)事業はどのように取り組みますか。
 「この事業は平均5年以上を要する。昨年主幹事件数で首位だったのは過去の積み上げがあったからで、今年力を入れなかったら逆に5年後に負ける。IPO事業は市況によって規模を極端に増減する会社もあるが、当社は仮に多少の調整があったとしても安定的にこの事業を続けたい」

 ―経営面ではグループ経営体制を本格化させています。
 「海外事業の割合が高くなり、従来のようにグループ全体を見るCEO(最高経営責任者)が国内証券を兼務する体制を改めた。従来の兼務型は、12年の現体制発足時からの緊急体制的な面があったが、ある程度落ち着いてきた。持ち株会社と各事業会社の役割をより明確にしていく」

 ―18年の世界経済の見通しは。
 「税制改革が通るなど米経済は本年も良好だろう。これに連動し、日本経済も好調と考えられ、大企業の業績は好調で上振れる可能性もある。日経平均株価は2万5000円前後まで上昇するだろう」

大和証券グループ本社・中田誠司社長


 ―4月から新たな中期経営計画が始まります。方向性は。
 「現在までの中計はどのような環境下でも赤字にならない体制づくりを重視してきた。ただ、収益基盤が安定してきたので新中計は攻めに転じ、トップラインや利益、資本効率に焦点を当てたい。顧客本位の業務運営を強化するため、顧客満足度を測る新しい指標も本格的に導入する」

 ―M&A(合併・買収)仲介といった関連事業については。
 「引き続き、中規模で収益性が高い分野でシェアを高めたい。課題だった北米市場も昨年にシグナル・ヒルホールディングスなど米2社を買収し、北米、アジア、欧州連合(EU)を結ぶ体制を確立。今後は欧米間の国境を越えたM&Aの案件などを獲得していきたい」

 ―国内では営業体制を本社主導型から支店主導に切り替えました。
 「良好な株式相場に支えられ、例えば米国株の上昇に合わせて各支店が外国株の提案に注力した結果、外国株の残高が一気に拡大した。この約9カ月間は想定以上の手応えがあったと思う。ただ、これまでの成果は好調な相場に支えられた面がある。市況が悪化した時にこの体制がどう機能するかが、今後の課題だろう」

 ―18年の市場環境の見通しは。
 「環境は良好とみている。日経平均株価でみれば約2万7000円はありうる。下値はリスクオフになったとしても好調な企業業績を考えれば、約2万1000円とみている」
日刊工業新聞2018年1月17日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
1月から長期積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」がスタート。現状はインターネット証券の動きが目立つが、野村、大和の両社でも対面証券の強みを活用した提案が始まっている。貯蓄から資産形成を促し、若年層を中心に顧客基盤を拡大できるのか。全国に基盤を持つ独立系2社の取り組みが焦点となりそうだ。 (日刊工業新聞経済部・杉浦武士)

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