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味の素、目指せ世界トップ級の生産性 最新鋭工場建設

工場にICT・ロボ自動化投入 
味の素、目指せ世界トップ級の生産性 最新鋭工場建設

パッケージング工場ではロボを積極活用している

 味の素が、ICTや自動化技術による生産効率向上の取り組みを加速している。国内主力工場である川崎事業所(川崎市川崎区)内に、ロボットの自動化を徹底した新包装工場を稼働させたのに続き、国内調味料・加工食品生産体制の再編に着手。2019年度までに約400億円を投資し、5拠点を3拠点に集約するとともに最新鋭工場を建設、ICTや自動化で世界トップレベルの生産性実現を目指す。

 労働人口の減少により、工場労働力で不可欠なパートタイム作業者も平日日勤帯以外では必要な人数が集まらない。「我々も日々、感じている。人手にいつまでも頼っていると、将来はビジネス自体がなりたたなくなる」。

 生産戦略部長の香田隆之執行役員は危機感を募らせる。解決策で、食品工場の自動化の必要性を指摘。品質保証やデータ記録などの進化技術を積極的に取り込むとともに、ロボットで作業を効率化。人でも機械でもできる作業は極力、機械に置き換えていくべきだと強調する。「浮いた時間で、人間はより付加価値の高い仕事に従事できる」(香田氏)。

 装置プラント型のアミノ発酵工場と異なり、食品工場は多品種少量生産型のため、商品を切り替える早さと容器の洗浄性などがものをいう。先行して稼働した包装新工場では物流センターに隣接した場所に建設し、35本のラインを15本に集約することなどでコスト競争力を強化。パラレルリンクや箱詰めロボットなど、ロボット17台も新たに導入した。

 「ロボなどを新規導入したくても従来はスペースが制約されるためできなかったが、新工場なので理想の配置が出来た。ライン稼働率は集約前の39%が72%にアップした」。味の素パッケージングの森重徳社長は、こう言って胸を張る。

 包装工場に続き、うまみ調味料とクノール食品、パッケージングの生産体制を集約した新会社を19年4月に発足、新会社の工場を川崎と東海(静岡県島田市)の拠点にそれぞれ建設する。新工場やICT導入で20年度の労働生産性を現状の2倍に高める計画だ。

 食品業界ではキユーピーが西日本のマザー工場として神戸工場を4月に稼働したほか、日清食品やケンコーマヨネーズも新工場を建設中。六甲バターは約236億円を投資し、神戸市西区に新基幹工場の建設を決めた。自動化や生産性向上が、それぞれキーワードになりそうだ。
(文=編集委員・嶋田歩)
日刊工業新聞2018年1月12日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
いままでは「早く」「大量に」「単純」などの作業をロボットに置き換えるという現場が多かったですが、ここ2~3年では人がやっていた作業を置き換える、人と協働するロボットがたくさん開発されています。

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