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アップルによるネットフリックス買収、「可能性は40%」とシティのアナリスト

トランプ政権の税制改革法で勢いづくM&A
アップルによるネットフリックス買収、「可能性は40%」とシティのアナリスト

アップルのiTunesの画面

 アップルが映像配信サービス大手、米ネットフリックスを買収する可能性は40%-。シティグループのアナリストが昨年12月に予測したメモの内容を、ネットメディアのビジネスインサイダーが報じた。それによれば、ネットフリックスに次ぐアップルの買収対象はディズニーで、買収の可能性は20-30%としている。

 米国ではトランプ政権のもと、大幅な法人減税や海外からの資金還流を促す税制改革法が12月22日に成立したことから、その施行によりM&Aが加速するとみられている。一方で、iTunesを通じて映画などを提供するアップルは映像製作にも参入。ただ、映像ストリーミング配信ではネットフリックスやアマゾン、フールー(Hulu)などが人気で、アップルの対応が焦点となっている。

 税制改革法では、連邦法人税をそれまでの35%から21%に下げるとともに、多国籍企業が海外に蓄積した既存利益の米国内への送金を促す優遇措置が2本柱。後者の「レパトリ減税」では、海外の蓄積利益を本国に送金する場合、一度限りの大幅減税が適用される。

 米国企業のうち海外保有利益ではアップルが最も多いとされる。アップルは2500億ドル(約28兆億円)近い現金を持ち、その大半を海外子会社が保有。レパトリ減税によって海外に保有する2200億ドル(約24兆6000億円)を米国内に戻すことが可能になるという。
2018年1月3日付日刊工業新聞電子版
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
WSJによれば、レパトリ減税による米国への資金環流の規模は最大で4000億ドル(約44兆8000億円)に達するとの試算も出ている。そのうちの主要部分をアップルが占めることも予想されるが、問題はお金の使い道。量産のための製造設備を持たず、データセンター建設や研究開発投資にも限りがあることから、M&Aか株主還元が主体になるのだろうか。

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