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旧北陸線のトンネル群、なぜ今も鉄道ファンを惹きつけるのか

自然に囲まれた絶好のウオーキングコース
旧北陸線のトンネル群、なぜ今も鉄道ファンを惹きつけるのか

旧北陸線トンネル群で最長1170mの山中トンネル(地元ガイドの説明を聞く日帰りバス客)

江戸時代、今庄(福井県南越前町)の町は北国街道の重要な宿場町として栄え、近代は鉄道・北陸本線の基地駅としてにぎわった。1962年に北陸トンネル開通で基地駅の役割を終え下火になったが、いま再び多くの人が訪れている。

 JR北陸本線で旧線の敦賀駅(同敦賀市)―今庄駅は難所だった。トンネルが12カ所、海抜8メートルの敦賀駅から同265メートルの山中信号場まで上る。「1000分の25」の急勾配が続き、それを越すため後押し用の補助機関車が必要で、今庄・敦賀の両駅が連結の基地だった。しかし、北陸トンネル開通で平易な新線に代わり、この難区間は廃止となった。

 廃線跡はトンネル10カ所が残った生活道路となった。自然の中の古いれんが造りのトンネル群があり、時折、敦賀湾も見晴らせる。魅力が見いだされ、トンネル群は14年に土木学会選奨土木遺産、16年に国の登録有形文化財となった。そこに県が14年から3年間補助金を出したのが呼び水となり、ツアー会社が日帰りバスのウオーキング商品を売り出し、人気が高まった。

 関西や東海からバスで乗り入れ、駅があった杉津(同敦賀市)から地元ガイドの説明を受けつつ大桐(同南越前町)まで10キロメートル程度歩くのが人気コース。ツアー客数が1000人に上る日もある。

 自然に囲まれた鉄道遺産のトンネル群。今庄駅舎は改装で、観光用の展示が充実した。
(文=福井・佐々木信雄)
【アクセス】
▽福井県下の旧大桐駅(南越前町)―旧杉津駅(敦賀市)の約9キロメートルが見どころ。ここまでは車で東京から約450キロメートル、大阪からは約170キロメートル、名古屋から約125キロメートル▽トンネルを歩く場合は懐中電灯などが必要。南越前町今庄観光協会(0778・45・0074)がトンネル群などのガイドを有料で提供している。
日刊工業新聞2017年12月8日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
隣の石川県が地元なのだが人気になっていたのは知らなかった。子どもの頃、特急「雷鳥(現サンダーバード)」で、大阪・京都方面に行く時、北陸トンネルに入る前はドキドキしたのを覚えている。北陸新幹線の金沢~京都区間ができると、また北陸線の趣が変わってくるかもしれない。

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