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東芝とWD、本当に和解できる?これまでに何度もちゃぶ台返し

「ほぼ問題はクリアできた」(ベイン日本代表)
東芝とWD、本当に和解できる?これまでに何度もちゃぶ台返し

「年をまたがず、早期に和解できる見通し」と杉本氏

 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」を買収する「日米韓連合」の中核である米ファンド・ベインキャピタルの杉本勇次日本代表は7日、日刊工業新聞社とのインタビューに応じ、売却をめぐる東芝と米ウエスタンデジタル(WD)との係争について「ほぼ問題はクリアできた。年をまたがず、早期に和解できる見通し」と語った。和解条件で東芝メモリとWDの提携関係が変化するのか注目されるが、「従来と基本的な部分は変わらない形で決着させる」と話した。

 WDは、東芝のメモリー事業売却は提携契約違反とし、国際仲裁裁判所に5月、売却差し止めを申し立てた。一方、東芝は違反はないとして、9月に日米韓連合と売却契約を交わした。WDの主張が全面的に認められれば売却停止になるリスクがあり、東芝とベインは協力して和解交渉を続けてきた。

 杉本代表は「WDは東芝メモリを買収しようとして訴訟を起こした。それが無理になり、WDの今の関心事は提携関係をスムーズに維持できるかどうか」と指摘。メモリーで競合する韓国SKハイニックスが、日米韓連合のメンバーであることを念頭に「WDの懸念を払拭できるよう和解条件を詰めている」と説明した。

 ただ当初の見通しより、交渉は長引いており、和解に至らない可能性もある。

 売却完了には各国の独禁法審査というハードルもあるが、杉本代表は「懸案は中国当局の審査だが、18年春にはパスできる」との見通しを示した。東芝は6000億円の増資を実行し、3月末までにメモリー売却が完了しなくても上場廃止を回避できる見込みで、以前より緊急性は低下している。
日刊工業新聞2017/年12月8日
後藤信之
後藤信之 Goto Nobuyuki ニュースセンター
東芝とWDの和解が来週にも成立する雰囲気になってきた。ただ東芝メモリの一連の売却交渉では何度もちゃぶ台返しが起きた。両者が握手できるか、最後までわからない。

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