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コンビニ弁当も“流行"を忖度?

師走突入で各社テコ入れに走る
コンビニ弁当も“流行"を忖度?

ファミリーマートの弁当コーナーで大々的に宣伝している「忖度御前」

 12月は残業や大掃除などで忙しい人が多く手軽に買うことができる弁当が最も売れる月だ。この時期を前に、コンビニエンスストアは定番商品である「弁当」のテコ入れに動いている。糖質制限ダイエットの流行などで、サラダやスープを合わせ買いして食事を済ませる人が増えており、弁当の売れ行きは伸び悩んでいる。各社は特徴ある商品の開発やマーケティングで、商機をつかむ狙いだ。

 ミニストップは女性をメーンターゲットにしたチルド弁当「プレミアムハンブルクステーキ」(消費税込み530円)を発売した。既存の「ディアボラ風BIGハンバーグ」(同498円)が男性向けにボリュームを訴求しているのに対し、ハンバーグの製法を工夫してふっくらとした仕上がりにし、高級感を出した。

 ローソンは製法や原料を見直した弁当「これが」シリーズを始めた。ハンバーグ弁当のほか、5日には唐揚げ1個あたりの重さを従来比1・3倍にした「からあげ弁当」(同450円)を発売する。

 竹増貞信社長は「弁当などの定番商品を飽きない味にすることで、店舗に毎日来てもらえるようになる」と話す。健康志向型店舗「ナチュラルローソン」では、ご飯をブロッコリーで代替した弁当も売っている。

 ポプラは健康志向の風潮にあえて逆行し、「少量」「ヘルシー」な商品では満足できない人をターゲットにしたキャンペーン「漢(おとこ)祭り」を展開している。11月28日には、ハンバーグや海老フライ、メンチカツ、豚カルビなどを詰めた「続・漢盛ポプ弁MAX 極」(同680円)を発売した。

 ファミリーマートは2017年に話題となったキーワードを取り入れた“忖度(そんたく)御膳”を、流行語大賞発表日の1日に発売する。

 「この案件はうまくいくとめでたい」「金を目当てにするほど腹黒くはないが、マメにお会いしたい」といった意味を込め、うま煮や金目鯛、のどぐろなどを詰めた。

 消費税込みの価格は798円で、ファミマの弁当では高額の商品。会員制交流サイト(SNS)のツイッターを活用した話題づくりにも取り組んでいる。
ミニストップは高級感を出した弁当「プレミアムハンブルクステーキ」(左)を発売

(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2017年12月1日
江上佑美子
江上佑美子 Egami Yumiko 科学技術部 記者
手早く買うことができる弁当は依然、男性を中心に人気がある。特に賞味期限が定温品より長いチルド弁当は、高齢者が翌日の朝食や昼食として買うニーズもあり、今後も開発が進みそうだ。

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