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熟練技術伝承へ、感覚を数値化する指の触覚計測センサー

早大が開発
熟練技術伝承へ、感覚を数値化する指の触覚計測センサー

触覚情報を可視化(早大提供)

 早稲田大学理工学術院の菅野重樹教授とアレクサンダー・シュミッツ准教授らは、人の指の触覚を測るセンサーを開発した。指の肉の変形を元に触覚を測定するため、指先の接触面を邪魔しない。装着者は自然な感覚で普段の動作を行える。女性の化粧中の指使いを計測して数値化するなど、繊細な作業のデータ化などに提案する。早大発のベンチャーを立ち上げ、事業化を目指す。

 センサーを指先に装着すると、爪やその周辺の肉の変形を計測する。その変形量から力のかかり具合などを推定する。ボタンを押すなどの、小さな力の変化を計測できることを確認している。

 装着者は、指の腹が覆われていないため、普段の要領で作業可能。オイル系の化粧品を肌に塗り込むなどの、繊細な作業をそのままデータ化できる。

 感圧センサーなどは指腹と対象の間にセンサーを挟む必要があり触感などが阻害されてしまう課題があった。

 人間の触覚は計測が難しく、作業者の感覚に頼るものが多い。データ化することで熟練者の技を分析したり、技能継承を効率化したりできるようになる。

 研究グループは、事業化に向けて早大発ベンチャー「ナイスボット」を立ち上げる。ベンチャーを通して、製品化や民間企業への技術移転を目指す。
日刊工業新聞2017年11月29日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
この技術は開催中の「2017国際ロボット展」に出展されていますのでぜひ生で見たい方は会場にお越し下さい。

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