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“動画版LINE”を目指すツイキャス。ユーザー拡大へ世界初の技術をリリース!

コミュニケーション基盤強化へ。複数で配信しやすいまわし撮り、通信速度制限時もスムーズな配信も可能に
 スマートフォンで動画を生中継できるサービスで急成長している「ツイキャス」は、24日からライブ中に画面を自動回転する「まわし撮り機能」をスタートさせた。最近、カップルや友達など複数で配信したいというニーズが増えているが、これまでスマホを横にして配信すると、視聴する画面は縦のまま映像のみが横向きになり、視聴しづらい状態だった。

 新機能は、配信中にカメラを傾けて横画面で配信しても視聴者の映像は縦画面のまま固定されるのが特徴。これにより、広い横画面でも中継が可能になる。海外では米ツイッターが今年3月にライブ動画配信アプリ「ペリスコープ」を始め話題になっているが、動画配信中に自動で水平を保つ機能は世界初という。

 また今回、ツイキャスは通信速度制限下でもスムーズに配信ができる「なめらかモード機能」も追加した。動画サービスを長時間利用した場合、通信速度制限がかかってしまい、画質が低下してしまう課題があった。新たな圧縮技術を使い、今までの約半分の帯域の状況でも、動画配信ができるという。旅行先や地下など電波環境が悪い場所でもストレスなく配信が可能。

 ツイキャスは米スタンフォード大学の客員研究員、ブックマーク「あとで読む」などの開発者である赤松洋介氏らが2010年にサービスを開始、今年4月にはわずか5年で登録ユーザーが1000万人を突破した。ユーザーの55%が24歳以下で女性の利用率が6割に達する。

 人気の配信カテゴリーは「メイク」や「アニメ声」などで、女子高生や女子大生を中心にしたコミュニティーができている。また最大30分の映像が流せるため、無名のバンドやアーティストなどが音楽作品の発表の場としても活用され、画面上でライブのチケットも購入できる仕組みも取り入れた。
 
 数多くの有名ミュージシャンや芸人も利用しているほか、最近は公式アカウントも開設し、Jリーグの浦和レッズが練習風景など配信している。また「大阪都構想」の住民投票では維新の党が若者に向けて積極的に情報を発信、政治のソーシャルメディア活用としても注目されている。
 
 運営会社のモイ(東京都千代田区)の従業員数はわずか30人程度で、赤松氏をはじめエンジニア集団だ。今回の2つの機能は、これからツイキャスがユーザー層を拡大していく上で非常に重要なテクノロジーになる。次の登録ユーザーターゲットは3000―5000万人。日本は通信環境など世界の中でもライブストリーミングで最も先行している。すでに英語とポルトガル語に対応しユーザーの2割は海外だが、今後はさらに伸ばしていく。

 単なる投稿動画配信サービスではなく、利用形態はコミュニケーションプラットフォームであり、さながら動画版のLINE、インスタグラムという立ち位置を目指す。
ニュースイッチオリジナル
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
社長の赤松さんのキャラがとてもいい。マネタイズよりもまずユーザー機能の充実を第一に考えている点もベンチャーらしい。今後は技術開発や意思決定などスピード感を維持しながら、利用者の幅をどこまで広げられるかに注目。

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