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認知症高齢者、タブレットで自立支援

インフォコムが来春サービス
認知症高齢者、タブレットで自立支援

テレビ電話で遠隔地の家族と会話もできる

  インフォコムは2018年春をめどに認知症の高齢者や家族を支援するサービスを始める。認知症患者の居住環境に専用タブレット端末を置き、主にテレビ電話と音声メッセージ、見守りの3機能を提供する。認知症高齢者の自立支援や家族の負担軽減につなげる。料金は通信費や端末費用を除き、1カ月あたり1000円程度からを予定。軽度認知障害(MCI)や軽度認知症患者を抱える家庭に提案し、20年度に売上高約10億円を目指す。

 専用タブレット端末は近距離無線通信規格「ブルートゥース」を使い、専用ボタンを押せばテレビ電話につながり、遠隔地の家族とスマートフォンなどで会話できる。また、事前に薬の服用や日帰り介護の利用日時を設定し、高齢者本人に音声メッセージを伝えて気づきを促せる。

 見守り機能は、室内に置いた各種センサーから温度や湿度データを取り込み、家族が認知症患者の居住環境をスマホなどでリアルタイムに把握する。タブレットの画面に熱中症の警告も通知できる。

 同社は17―19年度の中期経営計画でヘルスケア事業を重点分野に位置づける。特に高齢者が自宅や地域で最期まで暮らせるよう提供される医療・介護体制「地域包括ケア」分野に力を入れ、関連サービスを提供する方針。
日刊工業新聞2017年11月9日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
認知症の高齢者をどうケアしていくかは社会的な課題だ。早期診断や治療薬などの研究開発は進むものの、いまだ根本的な治療には遠い。認知症高齢者の自立を促し、周囲の負担を軽減する仕組みが求められる。今後、認知症の高齢者の増加が避けられない中、社会で受け入れる“器”づくりは待ったなしだ。

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