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ビール歳暮ギフトのカジュアル化進む

ビール歳暮ギフトのカジュアル化進む

プレミアムモルツでクリスマスツリーギフトも用意(サントリー)

 大手ビール4社が、2017年の歳暮ギフトセット商品を順次、発売する。高齢化や人々の価値観の変化を背景に、儀礼性を重んじる中元・歳暮ギフト市場は年々、縮小傾向。一方で誕生日や結婚記念日、友人同士などで贈り合う「ギフト市場全体」は増加傾向にある。ビール各社はこうした状況を踏まえ、カジュアルギフトやパーソナルギフトにも活用できる商品を強化している。

 アサヒビールは中元商戦に登場させたスーパードライビールとブリザーブドフラワーのセットに加え、歳暮からチョコレートとスーパードライのセットも発売する。「中元のフラワーギフトは女性客に好評で、パーソナルギフト用の需要も増えている」と同社。国産原料100%で醸造した「ジャパンスペシャルセット」や、ドライプレミアムのワールドホップセレクションを発売する。

 サントリービールの「ザ・プレミアム・モルツ」のギフトも、カジュアル志向が強い。CM出演のイチロー選手を缶デザインした「イチロー応援デザイン缶アソートセット」や、クリスマスツリーに使える箱容器の「2017ウインターデザインセット」、風呂敷風の化粧箱入り「マスターズドリーム年末年始6瓶セット」など、歳暮というより気軽なみやげやパーソナルギフトに向く。18年のえとの戌(いぬ)をあしらったデザイン缶の商品も発売する。

 キリンビールは中身・製法をフルリニューアルした「一番搾り生ビールセット」を軸に、拡販を目指す。さらに「地元の誇り」を前面に打ち出し、全国9工場それぞれの一番搾りを集めた、詰め合わせセットを強化。歳暮限定では「とれたてホップ生ビールセット」などを用意している。

 サッポロビールは歳暮限定商品として「ヱビス 和の芳醇」や「同 和のつむぎ」「同マイスター瓶」などを発売。「琥珀ヱビス缶セット」や「黒ラベル缶セット」も発売する。北海道でクラシック缶セット、新潟エリアで風味爽快ニシテ缶セットなどの地域限定商品も強化する考えだ。
                  

              

(文=嶋田歩)
日刊工業新聞2017年11月7日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
上記のグラフは大日本印刷のギフト消費調査。2016年の1年間に生活者同士でやり取りされたギフト市場規模は約6兆円でギフト市場全体では成長している。「お中元」や「お歳暮」が家族中心の贈り物としてカジュアル化したり、SNS上で低価格の商品をソーシャルギフトで贈るなど、”ギフト消費”が変化してきている。最近は、ギフト消費を新たな商品との出会いや商品価値の再発見のプロセスとして注目されているという。

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