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レシートは侮れない!消費者の購買分析に重宝がられる理由

メーカーが欲しいのは新商品発売1週間程度の動向
 ソフトブレーン・フィールド(SBF、東京都港区、木名瀬博社長)はメーカーなど企業の販促支援を手がける。今、普及に注力するのがレシートを活用した消費者の購買分析だ。これまでメーカーなどが手にできなかった「特定の商品をだれが、いつ、どこで、なぜ」買ったかを炙(あぶ)り出す。他企業との連携で顧客であるメーカーに訴求するサービス拡充や、サービス特性を生かして未開拓だった分野の開拓に乗り出そうとしている。

 SBFが展開する「ポイント・オブ・バイ(POB)」は消費者にレシートを撮影してスマートフォンなどで投稿してもらい、「どのくらいの頻度で買うか」「どこの棚にあったか」などいくつかのアンケートも併せて実施する。

 性別や年齢、家族構成、年収などの属性情報と照らし合わせて購買理由を分析する。取得した各商品のアンケート結果をメーカーに販売する。メーカーは消費者の生の声を手に入れることができる。

 サービスの要となるのがレシートやコメントを寄せる消費者の存在だ。2013年にクレディセゾンと提携し、クレディセゾンの顧客が購買理由をリポートすると、ポイントサイト「永久不滅.com」にポイントを還元する仕組みを構築した。現在約20万人から月15万枚のレシートを取得している。

 これまで20社程度のメーカーにサービスを提供してきたが、SBFの中村晃取締役は「メーカーのニーズに完全には応え切れていない」とする。

 「当社の顧客であるメーカーが欲しいのは新商品発売1週間程度の動向。発売直後ならば、販売戦略を大きく変えることも可能だからだ。ただ、これまでは商品によって、必要なサンプル数が集まらない時もあった。母数を増やすことで、幅広いメーカーにアプローチができるようになる」(中村取締役)。

 クレディセゾン以外の企業とも提携し、18年度に協力する消費者数を現在の約5倍の100万人に増やす方針だ。すでに提携交渉しており、中村取締役は「提携企業側も自社の顧客へのポイント還元などサービス拡充につなげるだけでなく、インターネットでは把握できない生の情報を欲しがっている」と手応えを示す。
(文=栗下直也)
日刊工業新聞2017年10月27日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
マーケティングのプロ」だけに新たな顧客開拓に余念がない。POBでは未開拓だった小売り業界だ。例えば、あるスーパーで買い物する人が他のスーパーで何を買っているかはブラックボックスだった。「自店でヨーグルトを買わない顧客が必ずしもヨーグルトを好まないとは限らない」(中村取締役)。地域限定で特定のスーパー向けに提供できないかと検討している。

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