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点字は発明から200年たった今でも、表示が統一されていない

日本主導で国際規格を策定
 視覚に障害のある方のために発明された点字。その成り立ちは19世紀まで遡り、現在は世界各国の様々な場所や製品に活用されている。点字は発明から200年近くたった今でも、表示の仕方が統一されていなかったため、視覚障害者が移動中に迷ったり、製品の誤操作をしてしまうケースがあった。

 より読みやすく誤認のない点字表示を目指し、日本主導で点字に関する国際規格を策定した。言語が異なれば点字体系も異なるが、各国独自のルールを国際規格に盛り込むことはできない。今回の国際規格では、判読しやすい点字の寸法や表示方法等を定めている。

 点字は操作ボタンの左側か上側に表示するよう定めた。例えば、エレベーターの操作ボタンが縦配置の場合、点字の表示は操作ボタンの左側が多い。

 表示位置を定めることで、複数列縦に配置された場合でも、点字がどの操作ボタンの情報を示していかすぐに分かるため、視覚障害者が移動中に迷わなくなり、利便性が向上した。
              

 国際規格の策定を踏まえて、国内規格である日本工業規格(JIS)も改正した。例えば、家電製品の狭いスペースに適切な点字表示ができるように日本独自の略語表記を定めた。このため、電気ポットのボタンの押し間違い等の製品の誤操作を防止し、視覚障害者も安全に製品を利用することが出来る。
              
 このように製品の形状や寸法などを標準化して、日本工業規格(JIS)を定めることを工業標準化という。統一的な規格があることで、品質の担保や誤認識を防ぐなどのメリットが生まれ、製品利用者の利便性や安全性の向上が図られている。
             
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
10月は工業標準化推進月間です。1949年の工業標準化法制定以来、モノづくりを支えてきた日本工業規格(JIS)。約70年の歴史の中で、最大の転機を迎えている。IoTに代表される第4次産業革命の流れにより、標準化の領域も変化が求められているから。国は2018年をめどに法改正し、JISの対象にサービス分野を加える方針。規格制定・改正の手続きも迅速化させる。

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