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日本のモノづくりの強み「折り畳む文化」、何に生かす?

愛知県の高校生が開発するEV、モーターショーに出展へ
日本のモノづくりの強み「折り畳む文化」、何に生かす?

コラプスの最大の特徴である折り畳み式車台を囲む生徒

 持ち運びに便利な折り畳み傘、収納を容易にした折り畳み式のテーブルや椅子―。身の回りにある生活用品には、折り畳む技が巧みに取り入れられている。

 畳む技術は狭い住空間で暮らす、日本特有の生活の知恵が育んだとする説がある。布団や着物を畳んで生活してきたため「折り畳む文化」があるという指摘もある。屏風や風呂敷、ちゃぶ台、三面鏡から、ベビーカー、携帯電話まで、日本のモノづくりのDNAには畳む文化が宿っている。

 ただ最近のモノづくりは、折り畳む技術を生かしにくい。製品の多くがコンパクトになり、畳む必要性が薄れているからだ。技術が進むにつれて、畳む文化も霞みつつあるのかもしれない。

 その文化を復活したのが、愛知県立愛知総合工科高校専攻科の生徒が開発する電気自動車「Collapse(コラプス)」である。前後輪の間を起点に車体を折り曲げ、車台を短くできるようにし、通常の半分のスペースで駐車できるという。

 モノづくりの若き担い手たちに畳む文化が受け継がれているようで、なんだかうれしくなる。コラプスは10月下旬に開幕する第45回東京モーターショーに出展する。完成に向け、今日も生徒たちは汗を流すだろう。

日刊工業新聞2017年9月7日



高校生がゼロから考える


 愛知県立愛知総合工科高校の生徒が開発する電気自動車(EV)「Collapse(コラプス)」。コラプスの最大の特徴が、折り畳み構造を採用したことだ。

 前後輪の間を起点に車体を折り曲げ、駐車時などは通常の半分のスペースにクルマを置ける。タイヤやブレーキといった通常の自動車にもあるパーツの設計とは異なり、折り畳み部分の設計は生徒がゼロから考えた。

 強度を保つため鉄のフレームを重ねたり、ベアリングの軸をフレームに溶接したりした。溶接担当の粕谷優太君(専攻科2年)は「材料の厚みに応じて溶接の電圧を変え、歪みの出し方をコントロールしている」と胸を張る。

日刊工業新聞2017年7月26日

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
携帯電話のヒンジとかは秀逸でした。個人的には「N」の感触が好きでしたね。アップルは折りたたみ式デバイスの特許を数多く持つことから、折りたためるiPhoneが近い将来登場することも十分予想される。折りたたみ式の超小型EVも世界的に開発が進んでいます。

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