三菱マテリアル、車載リチウムイオン電池を広域で再資源化

EVブームの中で、エコシステムはまだ未整備

 三菱マテリアルは使用済み車載用リチウムイオン二次電池(LIB)を広域的に再資源化する仕組みの構築に乗り出す。9月中にも輸送の安全性や経済性の検証を始める。LIBは引火性のある有機溶剤を含み、大量保管する場合は消防法令に沿った安全対策が必要になる。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の普及で使用済み電池は今後、増える見通し。全国の再資源化施設で広域的に処理する仕組みの必要性は高まっている。

 実証には三菱マテリアル以外に非鉄金属リサイクルを手がける企業や、物流系のシステム開発会社も参加。大量の廃LIBを想定し、広域的に処理する仕組みを構築する。

 参加企業の拠点がある栃木県から福岡県へ廃LIBを試験的に輸送し、保管場所や輸送経路、トラックの積み替え作業などを検証。安全面や費用面の課題を洗い出す。実証事業は環境省の支援を受けて実施し、2018年2月末までに報告書をまとめる。

 試験輸送の対象は廃LIBユニットを分解して取り出した電池モジュール。試験輸送の回数は今後詰めるが、1回の輸送でHV約100台分に相当する2―3トンの電池モジュールを運ぶ計画だ。

 輸送後の電池モジュールの一部は無害化や破砕などの処理を行い、ニッケルやコバルトを含む粉末を生成する。三菱マテの研究部門が中心となって、同粉末からニッケルやコバルトを高効率に回収する技術の開発を進める。

 三菱マテは家電を主体とした環境リサイクル事業の次の成長分野として車に着目。電動化や自動運転など車の「家電化」が進む中、家電リサイクルで培った技術をベースに自動車リサイクルの事業拡大を目指す。
リチウムイオン二次電池のユニットから取り出した電池モジュール

日刊工業新聞2017年9月8日

中西 孝樹

中西 孝樹
09月10日
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EVブームは結構だが、LiBはリサイクルを含めたエコシステムが未だ構築できていないように感じる。必要なレアメタル、レアアースの需給バランスに始まり、使用後のリサイクル、最後のリチウムの焼却に至るまで。リサイクルを確立することもEV社会に近づく重要なステップである。

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