新型iPhone、サムスンからの有機EL調達はアップルのアキレス腱となるか

いつ登場? 自社開発「マイクロLEDディスプレー」の出来栄えに期待

 9月12日にアップル新本社の「スティーブ・ジョブズ・シアター」で開かれる新製品発表会では有機ELディスプレーを初めて採用したiPhoneなどが登場すると見られ、ファンの間で期待が高まっている。その一方で、有機ELはアップルのアキレス腱にもなりかねない。有機ELディスプレーを当初、独占供給するのがスマートフォン市場で激しく競り合うサムスンだからだ。

 そうした事情もあり、アップルはサムスンへの電子部品の依存度を年々下げてきている。例えば、2015年発売のiPhone 6Sに搭載された自社設計の「A9」プロセッサーではサムスンと台湾のTSMCの2社に製造を委託したが、iPhone 7の「A10」および今回発表される次期モデルの「A11」はともにTSMCの全量供給とされる。

 サムスンも黙ってはいない。有機ELディスプレーの独占供給契約との合わせ技で幹部がアップル本社に交渉に赴き、来年発売のiPhone向けプロセッサー「A12」の受注をサムスンが一部獲得したとも言われている。アップルもサムスンの圧力を削ぐべく、7月には韓国のLGディスプレイの有機ELパネル製造ラインに数千億円規模での資金提供を協議中とも報道された。

 有機EL搭載のiPhoneが脚光を浴びる中、アップルはその先も見据えているようだ。14年に買収した米ラックスビュー(LuxVue)の技術をもとに、より製造コストが安く、表示が明るい上、薄型軽量化が可能とされる「マイクロLEDディスプレー」について台湾で独自の研究開発を進めているとされる。

 最初はスマホよりサイズの小さいアップルウォッチへの搭載が噂されているが、9月の発表会で披露される新型アップルウォッチにはさすがに間に合わないだろう。

 アップルならではのイノベーションが生み出しにくくなっているこの頃。スタートアップの買収や自前の研究開発強化で、果たして宿敵サムスンの銀河系(ギャラクシー)から逃れられるかどうか。

2017年9月5日付日刊工業新聞電子版
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藤元 正

藤元 正
09月05日
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次期iPhoneは有機ELディスプレーを採用し、四方の外枠とディスプレーとの間のベゼルがほとんどない「ベゼルレス」のスマートなデザインや、深さまで読み取る3Dの顔認識機能などが搭載されると噂されています。ただ、新型機の最大の特徴の一つと見られていたホームボタンの排除は微妙なところ。フォーブズは3日、ディスプレー部分に指紋認識センサーを埋め込むデザインは技術的な理由で間に合わず、中止されることになったと報じています。

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