米べイン、東芝に新提案。独禁法審査中でも今期中に買収費支払い

今週にも東芝メモリの売却先を決める

 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却について、米ファンドのベインキャピタルが独占禁止法の審査中でも2018年3月末までに買収資金を支払う提案をしたことが4日までに分かった。18年3月期中に債務超過を脱して上場廃止を回避したい東芝の計画に沿った形。ベインは売却の障害である東芝と米ウエスタンデジタル(WD)の訴訟にも配慮し、WDを軸とする「新日米連合」に競り勝つ考えだ。東芝は両陣営の案を精査し今週にも売却先を決める。

 各国の独禁法審査は早くても6カ月はかかるとされる。東芝が今すぐに東芝メモリの売却契約にこぎ着けても、18年3月末までに審査を通過できず、債務超過を脱せないリスクが高まっている。

 今回のベインの提案は従来から組む韓国SKハイニックスに米アップルを加えた「新日米韓連合」を通じ、2兆円規模で東芝メモリを買収する。独禁法の審査結果を待たずに資金を支払う案となっており、東芝は債務超過に陥るリスクを減らせる。

 東芝メモリ売却では、提携先のWDが売却差し止めを求めた訴訟も障害となっており、ベインの提案はこの問題にも配慮した。資金を支払った段階では東芝とベインがそれぞれ過半近くの議決権を持ち、その後、訴訟問題が解消された段階で革新機構などに議決権を譲渡する。係争解消を出資条件とする革新機構などが将来参加できる内容だ。

 ベインの提案は18年3月末までに独禁法審査を通過し売却を完了して資金を得ることと、訴訟解消という二つの課題を解決できる。ただ、東芝関係者は「まだ素案段階で、実現できるのか詰めが必要」と内容の精査を急ぐ。

 東芝はベインの新提案を検討する一方で、新日米連合とも交渉中。WDが東芝メモリの議決権を将来引き上げる考えを示している点がネックだが、それが解消されれば「最適な売却先」(交渉関係者)との意見もある。
                          


後藤 信之

後藤 信之
09月05日
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 東芝メモリの経営を日本で主導するという大命題に縛られない主要取引行は「右も左も言わないが、早く売却先を決めてほしい」との立場で、東芝にプレッシャーをかけている。9月に入り、掛け値なしに尻に火が付いた状況だが、新日米連合、新日米韓連合の最終カードが出そろい、契約締結に向けた雰囲気が醸成されてきたことは確か。ただ2陣営の提案内容には双方ともに課題や欠点がある。
 東芝は将来、発生し得るリスクを見極め、それが制御できる範囲なのか冷静に判断しなければ、企業買収にからみ巨額損失を出した米原発事業の二の舞になりかねない。場合によっては東芝メモリ売却以外の経営再建策を模索する必要が出てくる。

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