TDKのお膝元・秋田でいち早く「航空機」に参入した有力企業とは

三栄機械、海外シフトに対応

 TDK創業の地として知られる秋田県本荘由利地域。同社の海外シフトを背景に、地場の中小企業が航空機産業に進出する動きが活発化している。三栄機械(秋田県由利本荘市、齊藤民一社長、0184・23・1094)は、その先駆け的な存在だ。

国内大手ティア1と直接取引


 きっかけは、日本飛行機(横浜市金沢区)出身技術者の採用だった。1988年に整備用格納庫の作業台を手がけた。現在、組み立て治具のほか部品輸送用コンテナや製造設備などを展開、ティア1(1次サプライヤー)に納入し、航空機産業を陰で支える。

 部品点数が膨大な航空機は治具の数も多い。2002年に日本飛行機の工場見学を通じてそれを知り、7、8個の治具を使う工程を一つの治具でこなす方法を提案した。この頃に航空機分野に力を入れるようになった。

 08年には航空宇宙の品質マネジメント規格「JISQ9100」を取得。「東北の中小企業で一番早かったのでは」と齊藤社長は話す。日本飛行機への納入実績をテコに、国内のティア1に営業をかけて川崎重工業や三菱重工業、SUBARU(スバル)などと直接取引している。

「適正な価格で販売できる」


 設備投資にも積極的だ。大物や多様な形状、材質に対応するために大型の5軸加工機やチタン合金加工機を導入。大型部品を正確に取り付けるため120メートルの対象物を誤差0・05ミリメートル以内の精度で測定するレーザートラッカーも使用する。

 航空機産業でも人手不足対策、コスト低減に向けた自動化設備やロボット導入が進んでいる。15年にはスバルに座席シートの取り付け穴を開ける自走式ロボットを納入した。

 需要変動が大きい分野。機体部品は比較的安定的な受注が見込めるものの、世界的な価格競争は避けられない。「メーカーの課題を解決する生産設備なら、適正な価格で販売できる」と齊藤社長。 納入先のニーズをいち早くくみ取れる直販体制を生かし、さらなる成長を目指す。

【企業メモ】この10年で総額20億円を投資して生産体制を整えた。16年11月期における航空機分野の売上高は、全体の約5割に当たる7億―8億円。事業の柱に育ってきている。4月に秋田大学などと炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の新成形法開発で研究組合を設立した。航空機のほか、自動車、医療福祉分野での事業化を視野に入れる。

(文=仙台・苦瓜朋子)

日刊工業新聞2017年9月4日 

杉本 要

杉本 要
09月05日
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航空機産業はいま需要の端境期で厳しいとされますが、実際どうなのか。売上高に占める航空機関連の比率も高いようですので、頑張ってほしいです。

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