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日立、自動運転の不具合再現を6割短縮

アプリ開発を迅速に。車メーカーに手法提案
日立、自動運転の不具合再現を6割短縮

スバルの運転支援システムに採用されている日立AMSのステレオカメラ

 日立製作所と日立オートモティブシステムズ(日立AMS)は、自動運転用アプリケーションの開発期間を短縮する技術を開発した。開発時に発生した不具合について、再現に必要な車載センサーの入力情報とアプリの動作を高精度に同期させ、再現時間を従来比で最大6割短縮できる。品質向上にもつながる。自動運転機能の高度化で、走行制御に必要なアプリの開発作業が増えている。開発を効率化する新手法として車メーカーに提案する。

 同技術を搭載した自動運転用電子制御ユニット(ECU)と開発キットを、11月から車メーカー向けに販売する。自動運転用アプリはECUに組み込まれており、カメラやレーダーなどセンサー情報を処理して自動駐車や運転支援といった機能を実現する。ECU内のアプリは数十ミリ秒間隔で動作している。

 車メーカーや部品メーカーの開発担当はアプリの開発過程で自動運転機能が正しく作動しない不具合が生じた場合、不具合発生時と同じ状態をECU上で再現して原因を究明する。

 現状はセンサー情報がECUに入力されたタイミングを記録することはできたがアプリの動作と同期させ記録することはECUの構造上難しく不具合を高精度に再現するのに手間がかかっていた。

 新技術はあらかじめセンサーの入力情報とECU内のアプリの動作をひも付けて外部のデータベースに記録しておく。再現する時は、不具合発生時と同じタイミングでセンサー情報がECU内のアプリ側に入力される。

 センサー情報を一元管理してアプリ側にリアルタイムで入力できるプラットフォームや、入力のタイミングを合わせるため一時的にセンサー情報を格納できる機能を、ECUに搭載することで実現した。日立のソフト技術と日立AMSの自動運転用ECU開発技術を融合させた。

 自動運転分野では完成車メーカーに加え、米グーグルなど異業種も参入し、競争が激化している。日立と日立AMSは自動運転向けの部品や情報通信技術に加え、開発環境を改善できるソリューションを提案し新たな収益源にする。
                 
日刊工業新聞2017年8月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自動運転により日立グループの中でも俄然注目度が高まっている日立AMS。今は日立製作所100%出資の子会社だが、ガバナンスをどうしていくか(他社とのアライアンスを含め)、日立の戦略に注目。

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