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海外で評価される日本の“盆栽車”

「軽はデザイン、性能、技術で魅了する芸術品」(スズキ会長)
海外で評価される日本の“盆栽車”

「ワゴンR ハイブリッド FZ」とスズキの鈴木俊宏社長

 「Bonsai car」―。日本の軽自動車は、海外で時にこう呼ばれるそうだ。確かに車体サイズやエンジン排気量などを抑えて完成度を追求する軽は、世界に知られるようになった「盆栽」を思わせる。

 日本の独自規格として生まれた軽が、現在の走行性能や安全性能を獲得するまでにはずいぶん年月を要した。その点も、年月をかけて育てる盆栽に通じるかもしれない。

 近年のキャンプブームを背景に、軽ベースのキャンピングカーが人気という。調理設備やトイレを省き、必要なら24時間営業のコンビニエンスストアを使うことで手軽にアウトドアを楽しめる。運転や駐車が容易で安価な“軽キャンパー”なら若者も手を出しやすい。

 スズキ会長の鈴木修さんは「軽は限られたスペースを上手に使ってデザイン、性能、技術で魅了する芸術品」と胸を張る。そのうえ「使用材料も製造エネルギーも小さいエコカーだ」。欧州の自動車誌も「性能が上がっても大きくならない車」と最近の軽に注目する。

 ただ日本のカーマニアの間で“盆栽車”といえば、過度な装飾や改造を施した観賞用の車のことらしい。同じ表現でも受け止め方は正反対だ。海外の高評価は、軽の新たな可能性を予感させる。
日刊工業新聞2017年9月1日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
先日、軽トラのイノベーションの記事を公開したが、規制があるほどイノベーションが生まれやすいというのもまた真なり。

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