島津、AIで手術中のがん組織病理診断を3分で判定

年内にも臨床試験

 島津製作所は人工知能(AI)を活用し、がん手術中に採取した微量組織のがんの病理診断を支援する装置の開発を進め、2020年頃の製品化を目指す。現在、臨床試験実施に向け準備を進めている段階で、早ければ今年中の開始を目指す。現状では採取した組織切片を、病理医が診断するのに30分程度かかっているが、同装置では3分程度で判定し、病理医を支援する。

 島津製作所が開発を進めているのは、がん組織とその周辺の組織を針状の道具で採取し、質量分析装置で分析するがん迅速病理診断装置。がんと、がんでない部分の質量分析のデータを活用し、AIで判定する仕組み。

 同装置は臨床試験を経て、医薬品医療機器等法(薬機法)の承認がいるため、製品化は20年頃になる見通し。がんの迅速病理診断装置は、まず臨床試験で肝細胞がんでの迅速診断支援装置として医療機器承認を得る。その後、肺がん、乳がんなどへと適応範囲を拡大する計画だ。

 同社は4月にスタートした3カ年の中期経営計画で、ヘルスケアを重点成長分野と位置付け、主力の計測分析機器と医用の融合を目指している。

 また、中計では計測機器などのアフターマーケット事業強化を掲げる。そこでIoT(モノのインターネット)とAIを絡めて、分析計測機器の故障予知ができる保守サービスの実用化に向けて開発を進めている。

 必要なデータ取得のため、センサー取り付け位置や温度、振動などどのようなデータを取得すれば、AIを活用した分析、故障予知に生かせるかなどを検討している。社内で検証した後、一部ユーザーの協力を得て、テストし実用化する考え。

日刊工業新聞2017年8月31日

村上 毅

村上 毅
09月01日
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がんを確定する病理の現場では人材不足が深刻だ。厚生労働省なども病理診断にAIの活用を推進している。AI活用で診断時間が短縮化されれば、人材面での手当てだけでなく、誤診などミスの抑止も期待できる。

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