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ドラッグストア戦国時代到来!小商圏化で勝ち残り、1兆円を目指す

ドラッグストア戦国時代到来!小商圏化で勝ち残り、1兆円を目指す

ドラッグストア業界トップに立つウエルシアの店舗

 「大手ドラッグストアチェーンで今、1兆円を目指していない首脳はいない」―。ある大手ドラッグストアの首脳はこう言い切る。イオン系のドラッグストアを相次いで傘下に入れ業界トップに立つウエルシアホールディングス(HD)が、売上高7000億円を目標に掲げたかと思えば、ツルハHDも19年5月期に同7000億円を掲げた。その先は1兆円を視野に入れているのは確実だ。現トップのマツモトキヨシHDやサンドラッグなど上位組はどう巻き返すのか。ドラッグストアは戦国時代に突入した。

 再編攻勢をかけているのがウエルシアとツルハだ。ウエルシアは同じイオン系のタキヤ(兵庫県尼崎市)、シミズ薬品(京都府下京区)と経営統合、さらに9月にはCFSコーポレーションも統合し売上高は単純合算で5000億円を超え、現トップのマツキヨを抜いてトップに立つ。

 「日本一のドラッグストア」はウエルシアの創業者鈴木孝之氏の遺言でもある。ウエルシアの大株主のイオンの岡田元也社長も鈴木氏の悲願を受け止め今後、援護射撃は惜しみないとみられる。ツルハもイオンが大株主ながら独自に7000億円構想を掲げている。同社の堀川政司社長は「救済的な合併はしない」と強者共生の再編を目指す考えだ。

 図らずもイオン系のドラッグストアが7000億円という一つのマイルストーンを目指すのは、ドラッグストアが垣根を越えた競争が激化しているからだ。13年時点で全国に1万7000店の店舗数があった業界は現在は1万8000店以上になっているといわれる。ドラッグストア同士の競争ばかりでなく、ドラッグストアが食品などを扱い、小商圏高頻度来店型の店作りを目指すのに従い、同じ小商圏型のコンビニやスーパーとの競合が激化している。加えて今は利益貢献度が高い「調剤」も、今後「もうからない商材になる」(大手ドラッグストア幹部)という見方が有力だ。再編によりスケールを拡大し、そのメリットを具現化させることが必要になっている。仕入れやコスト削減は規模が有利働くからだ。

 ウエルシア、ツルハが7000億円達成後は1兆円という大台が射程に入ってくる。現在4855億円(15年3月期)の規模がありトップのマツキヨHD、4458億円(同)で業界2位のサンドラッグはどう動くのか。これまで中堅、中小のドラッグストアを大手がM&A(合併・買収)する再編が進んできたが、今後は比較的大型のM&Aが発生する可能性も強い。
 食品スーパー大手でさえ、単独で7000億円という規模のところはまだない。ドラッグストアが1兆円になった時、一段とコンビニ志向を強めるのか、それとも食品スーパー志向を強めるのか。いずれにしても今以上に垣根が低くなるのは確か。群雄が割拠するドラッグストア業界から目が離せない。
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ドラッグストアは今後、小商圏での勝負になりそうです。同業ばかりでなく、コンビニやスーパーを向こうに回し勝ち残りを目指すことになります。規模を質に変えられるかがカギとなりそうです。

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