アップル、現本社と新本社間に自動運転のシャトル便導入へ

自動運転車の車体製造あきらめ、システム開発にシフト

 米アップルがシリコンバレーにある現在の本社や建設中の新本社の間を行き来するシャトル便に、自社開発の自動運転システムを近く活用する計画であることがニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道で明らかになった。アップルでは自動運転車そのものの開発は断念したものの、自社の自動運転システムを市販車に搭載してシャトル便とし、公道での走行試験に役立てるという。

 アップルで自動運転プロジェクトにかかわる5人が匿名を条件に語ったところによれば、社員を乗せたシャトル便による公道試験は社内で「PAIL」と呼ばれている。現在のクパティーノ本社のあるインフィニット・ループ(IL)1番地や、2017年中に完成予定で同じくクパティーノ市内にある新本社(アップル・パーク)、さらに数マイル離れたパロアルト(PA)を結ぶルートを走行するという。

 アップルは4月、カリフォルニア州自動車両局(DMV)からSUVの「レクサスRX450h」を使った公道での自動走行試験の許可を得ているが、シャトル便が同じ車種になるかどうかは不明。

 アップルはもともと、2014年にスタートした「タイタン」という社内プロジェクトで自動運転車の開発を手がけ、当初は自動運転車本体の開発を目指していたとされる。だが、事業化の方向性が見定まらない中、車のハードウエアの開発・製造からは手を引き、16年には自動運転向けのソフトウエア開発に方向転換。同時にハードウエアのエンジニアを削減するなどプロジェクトの規模も縮小した。

 それでもNYTによれば、アップルは最近になって自動運転技術の専門家の数を増やしており、売上高の半分以上を占めるiPhoneに続く新しいビジネスの柱の一つに育てたいとの考えがあるようだ。

 アップルについては、以前から自動運転車の開発を進めていると噂されていたが、同社がその事実を公式に認めたのは今年6月のこと。ティム・クックCEOがブルームバーグとのインタビューで「自動運転システムに狙いを定めている」と初めて明らかにした。

 NYTでの5人の関係者によれば、アップルはすでに「CarOS」と名付けた自動運転車用のOS開発に乗り出している。ただ、自社開発のコンピューター言語である「Swift(スウィフト)」を使って開発するか、あるいは業界標準の「C++」にするかで激しい議論が戦わされたという。

 また、ハードウエア開発も狙いにしていたタイタンでは当初、自動運転システムだけでなく、アップルならではの車作りも模索していたようだ。たとえば、モーターで静かに開閉するドアや、ハンドルやアクセルペダルなしの内装デザイン、車内ディスプレーへの仮想現実(VR)/拡張現実(AR)技術の応用、屋根の上に突き出ない光レーダースキャナー(ライダー)のデザインなども手がけ、車が前後だけでなく左右にも動けるよう、球形の車輪まで検討していたという。

2017年8月24日付日刊工業新聞電子版

藤元 正

藤元 正
08月24日
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ビジネスインサイダーの報道によれば、アップルの自動運転技術を見た専門家が「グーグルの3年前の段階」と言って切って捨てたとのこと。まだまだキャッチアップの状態で、ポストiPhoneの道は遠いかもしれません。

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