ジャパンディスプレイCEO「どこか1社だけ資本を入れるのは考えづらい」

東入来氏インタビュー「これが最後のチャンス」

 創業以来、最大規模となる構造改革を断行するジャパンディスプレイ(JDI)。2020年3月期までの新中期経営計画を策定し“第二の創業”を掲げるが、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルの事業化や資金繰りなど課題は多く、綱渡りの経営が続く。「これが最後のチャンス」と力を込める東入来信博会長兼最高経営責任者(CEO)に、戦略や再建の可能性を聞いた。

 ―急激に市場が伸びている有機ELパネルの量産化が喫緊の課題です。
 「JDIは19年半ばに蒸着式有機ELパネルの量産技術を確立する計画。我々が採用する新製造方式なら、現状の製品よりも高精細化や低消費電力化が可能。強みであるパネル駆動回路技術も含めて、十分に差別化できる。まずは量産技術を確立し、その次には技術ライセンス供与も視野に入れる」

 「さらに関連会社のJOLEDが手がける印刷式有機ELは、現状の技術力では業界ナンバーワンだ。この二つをカバーすることは強みだ。規模も追求し、やるからにはトップを目指す」

 ―投資に向けて、外部から資本を受ける考えは。
 「同業のパネルメーカーや投資家、顧客など候補はいろいろある。複数のパートナーと組む選択肢もあるかもしれない。どこか1社だけが資本を入れるというのは考えづらい」

 ―スマートフォン向けの事業では、特定顧客への過度な依存が課題になっています。
 「最大顧客を抱えることは、垂直統合の力が高まるとも言える。評価してもらえる立場を追求するのが大切だと考えている」

 ―業績が悪化している中国スマホ向け事業のテコ入れは。
 「15年に設立した事業開発センターは重要な位置付けとなっており、今後も強化する。一方で顧客の幅を広げ、あらゆる中国スマホメーカーと付き合うのは難しい。長期の関係が構築できる所をある程度絞り込むことは必要だろう」

 ―再建の軸として経営改革案「クロス・ファンクショナル・チーム」を発足しました。
 「コスト削減など収益改善と、長期事業展望の策定が狙いだ。10月にはカンパニー制を導入し、職務階層を減らして意思決定の迅速化や経営管理の強化を図る。スマホや車載など市場に合わせた組織体制にし、工場もそれぞれに紐(ひも)付かせて収益管理と事業のサイクルを加速する。社内のアンケートでは今回実施する構造改革についても意見が出ており、社内の危機感は醸成されている」

 ―日本最後のディスプレー専業メーカーです。勝ち残ることができますか。
 「競合と同じ土俵で戦ってはいけない。工場への大規模投資の時代は終わり、生産面でグローバルパートナーと組む道はある。ただパネル駆動技術をはじめ、戦える技術力はある。技術は使ってもらわなければ意味がない。積極的にパートナーシップを組む。JDIの再建で、日本の技術開発のあり方を投げかけられるかもしれない。底力を見せる」
(聞き手=政年佐貴恵)

日刊工業新聞2017年8月23日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
08月23日
この記事のファシリテーター

JDIに入り、4カ月で抜本的な構造改革案をまとめた東入来氏。入社前に部長以上の社員に送ったメッセージへの返信を見て「真正面から取り組む優秀な人材ばかり」と感じたという。ただJDIは後手に回った経営により、成長戦略を描けないほどまで業績が悪化している。東入来氏がラストチャンスを生かすには、JDIの立て直しとともに、将来の道筋も示さねばならない。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。